まつけん

チョコレートドーナツのまつけんのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.2
チョコレートドーナツ 2012年 アメリカ Amazonプライムにて

この名作、ようやく観ました。周りの人の評価通りでした。
素敵な映画でした、本当に。映像もだし、音楽もだし、ストーリーも。
純愛&家族愛の溢れた映画でした。(では終わらないので、観る人はそんな気持ちでは見ないことを忘れないで。それほどこの時代の偏見がひどいということを。)

知っている人も多いと思いますが、ドラッグクイーンのルディと検事局弁護士のポールとダウン症のマルコの疑似家族のお話。
ルディのショーパブにポールが訪れ、お互い恋に落ちる。ルディの隣人のシングルマザーは薬中でマルコを残して捕まってしまう。このままだとマルコは施設に送られてしまう…二人は手を取り、そして手をマルコに差し込めるが。。
1971年のアメリカなので、今の何十倍もLGBTに世間が厳しい時代。その時代に、ルディとポールが出会い、恋に落ちた。
そして、同情なのか哀れみなのか、もしかしたら母性なのか分からないけれど、薬中の母親(懲役刑)から権利を一時的にでも得て、マルコを幸せにしようと頑張る。

途中まで、LGBTというよりも、単純にちょっと環境の違う二人が出会い恋に落ち、そこにもう一つの要素である子どもの権利問題が加わる、どちらかと言うとそっちが重たい話だったのに、
ただ、後半からは、彼の養育権を巡って、徐々に彼らの関係が周りから、そして裁判所でも攻め込まれていく。苦しいよね。
すごく普通の恋愛なのに、偏見により、普通のことも許されない、むしろあり得ないことと攻め立てられる。
その時代の偏見が普通を悪と決めつけて、そこにみんなが突っ込んでいくシーンは見ていて辛い。
彼らは、普通に愛し合い、そして子どものために精一杯の愛情を注ぎたいだけなのに。「過ぎた望みですか?」この言葉は刺さりますね。

演技は3人とも素晴らしい。特にルディ役のアラン・カミングは難しい役柄ながらすごく自然だったし、歌が口パクか分からないけどすごく良かった。(2017年のバトル・オブ・ザ・セクシーズというテニス映画とは全然印象が違う、役の幅の広い名優ですね!)
ダウン症のマルコ役のアイザック・レイヴァは、本当にダウン症の役者。でも、ダンスとか音楽とか演技の学校に通って役者を目指し、この映画でもオーディションで選ばれた。素敵な役者です。
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