【まとめシネマ】#340
【まとめ】
* 女々しく雄々しいルディ
* これからも闘い続けるラスト
* 道徳の教科書に載せたい!
本作は1979年のカリフォルニアを舞台に、歌手を夢見ながらショーパブで働くアランカミング演じるゲイのルディ・ドナテロとアイザックレイヴァ演じるダウン症の少年・マルコが出会い、ギャレットディラハント演じる検察官でルディの恋人・ポールと共に暮らす物語。
本作の主人公であるルディはマルコに対して母親のように愛情を注ぐ。そんな中で同性愛者や障害者に対しての偏見や差別、理不尽な対応・結果に対しては父親のように喉を筋張らせて正しさを訴えている姿を見せる。LGBTの難しい役柄でありながら、彼にしか表現できない多面性を描いている。
本作のラストは忘れられない。
他の人のレビューを見ると「悲しい」「ショック」という言葉を目にするが僕はそんな言葉を使いたくない。きっと、ルディもポールも、この作品を見届けた我々も、これからも闘い続けるためにあの歌声があると思う。そう思える確かな一歩を描いている。
僕はこの映画を23歳で知った。
しかし、もっと前に知りたかった。学生時代に出会いたかった。そんな後悔も残る素晴らしい映画。
この映画を道徳などの教科書で「教育」として知りたかった。
最後に余談として。
日本で公開された2014年当初、上映していた映画館数はわずか1館。その理由はテレビ局が「同性愛者やダウン症の映画は紹介できない」と断られていたから。そんな中で映画コメンテーターのLiLiCoさんが「王様のブランチ」で号泣しながら本作を紹介。その結果、翌週には上映館数が140館に増加、本作が広く知られるきっかけになった。
LiLiCoさんへの感謝と、たった7年ほど前の日本のメディアでもこのような偏見・差別があったことを伝えたい。