タナカリオ

チョコレートドーナツのタナカリオのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.5
冒頭、暗がりの街中を一人の少年が人形を抱え歩いている。その姿は行くあてもないように見えるし、何かを探して歩いているようでもある。その映像が頭から抜けないまま、物語は切り替わる。この冒頭のシーンは何だったのか、それがラスト5分でわかった時、観ている者はこれからの人生観に影響を与えるほどの衝撃に包まれるに違いない。

世間から「マイノリティ」とされる3人が、お互いの中に居場所を見つけ、その居場所を守るために最後まで戦い抜く。

知的障害がありながら、誰よりも素直なマルコ。嬉しければ涙を流して喜び、2人と一緒に暮らしたいと訴える。お腹が空けば自分の好きなドーナツを望み、チョコレートドーナツを食べながら感謝を伝える。
他人を陥れることも、騙すことも、下げずむこともしない。
ゲイだからと偏見を持つこともない。
そんなマルコに、散々世間から異物扱いされたルディとマイノリティに葛藤したポールは支えられたのだろう。

お互いの居場所は、自分で作るものなのだ。
家族という糸は関係ない。

この3人が、ハッピーエンドになれる時代が来ることを願わずにはいられない。
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