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チョコレートドーナツのinuのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.5
人の心に残り続ける映画は社会の深い闇を内包している。この映画はまさにそれであって、私たちに社会はこのままでいいのか?という問いを投げかける。同性愛者、障がい者、あらゆる差別がこの世界には歴然とあって、それが人々の「個」への意識を遠ざける。人を人としてみることができないような深い霧を作っている。この映画を見終わった時、その霧は決して晴れない。だが、私たちがいる場所一帯が霧に包まれているという事実を私たちは受け止めることになる。マルコは私たちの心に闇を落とした。差別と戦わなければならない、その意思を固める。そして、差別と戦うことができるのは人が人をただ思う気持ち、無償の愛だ。それが人道であり、道徳だ。この映画はLGBT云々というくだらないくくり以前に、誰もがみるべきだ。映画における題材、トピックなど表層にすぎない。私たちはあらゆる差別をなくさなければならない。かならず。
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