ゲーム原作ということもあって、白色テロの歴史をホラーとして消化する斬新さに惹きつけられた。
音楽が好きで歌を歌いたいという主人公の純粋な気持ちがろうの家族になかなか理解されないもどかしさを静寂のシーンを通して観客に訴えてくるところが凄まじく印象に残っている。とにかく泣いた。
由宇子は自身の中にある一貫した正義、ジャーナリズムを追い求めるが、その過程で見えてくるのは身内の人間の過ち。由宇子の天秤は揺らぎはじめる。終始物語がどう転がるのかわからない不思議な感覚で時間を忘れて見>>続きを読む
現在起こっているロシアによるウクライナ侵攻などを見ても、戦争は男のものであるという言われ方をよく目にする。たしかに多くの顕著な犠牲は兵士として駆り出される男性によって払われるが、他方で独ソ戦やこの映画>>続きを読む
人の価値観は常にアップグレードされつづけるものだから数年前に観たら全くわからなかっただろうし、評価しなかったであろう映画に出会うことがあるが、セリーヌ・シアマの映画はまさにそれ。本作では、大人になった>>続きを読む
友情だと思っていたものが、恋愛感情だったことに気づく過程・葛藤を自然に描いている。
濱口竜介監督はハイコンテクストな展開を描くのが巧みで、現代の小津安二郎か?と思うほどだった。第3話は特にそれを逆手に取った物語で呆気にとられた。第1話は「この物語はどう転がっていくのだろう」という好奇>>続きを読む
原作にも1984年デイヴィッド・リンチ版にも「ホドロフスキーのDUNE」にも触れずに観に行ったせいで、何が何だか分からなかった。壮大なストーリーと複雑な設定、さらにはややこしい固有名詞が荒波のように押>>続きを読む
レイチェルの結婚という家族にとってのイベントを通してこの家族の抱える問題をありありと、圧縮することなく見せてくる。写実的な表現技法は北欧のドグマ95を手がかりにしているのではないかと感じた。カメラはア>>続きを読む
余計な脚色をせず、そこにある日常を日常として切り取っている感覚がとても良かった。
エイリアンの来訪により彼らの言語を解読するために招集された言語学者のルイーズ。彼女が目の前で経験するエイリアンの来訪とともに彼女自身の過去と未来が入り混じる複雑な構造になっており、後半までどういうこと>>続きを読む
インドデッケ〜!!
オーストラリアのお母さんあまりにも立派。そこに泣いた。
マネの絵画「自殺」のモチーフや宗教的な嘘の罪と赦しという題材がモノクロとカラーを行き来しながら映し出される。傑作。最後のシーンは自殺の暗喩と捉えてもいいのだろうか。ピエール・ニネの端麗な顔立ちが何より>>続きを読む
ナチに家族を惨殺された男が、仇をぶっ殺す復讐劇。ナチスぶっ殺しという点では、クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』と通ずる(実際タランティーノもこの映画を着想元にしているらし>>続きを読む
原作はイギリスのヤングアダルト作家エイダン・チェンバーズが1982年に発表した小説『おれの墓の上で踊れ(Dance on my Grave)』。16歳の少年ハル(映画でのアレックス)が死んだ友人バリー>>続きを読む
要はバーフバリだった。長いし一つ一つの要素はかなり雑だけど、面白い。マーベル作品のような爽快さ。劇場で観たい映画。インド映画の醍醐味怒涛の伏線回収はこの作品でも当然遺憾なく発揮されているが、そんなこと>>続きを読む
止むを得ず未婚のまま身ごもったサミア。婚外交渉がタブー視されるモロッコで未婚の妊婦に対し厳しい眼差しを送りつつも路頭に迷うサミアを招き入れたアブラ。二人の女性の交流を通し、モロッコ社会における女性のあ>>続きを読む
二度裏切られる演出。アパートメントの不気味さや隣人の不可解さを通して聴衆は主人公ローズマリーの視点と共鳴しながら物語を進めるが、後半からローズマリーの言動が陰謀じみた信用できないものに変わる。この時点>>続きを読む
社会における階級をメタ的に描いた作品。階層を物理的なものとして描くことで可視化された手法は今までにありそうでなかった秀逸なものだと感じた。上から下に落ちることは容易でも下から這い上がることは基本的に不>>続きを読む
いつ観たか覚えてないけど、冗長で輪郭の不明瞭な印象だった。
男性だらけの競馬界で闘う女性としての葛藤、この世を去った家族を思いながら闘いつづける葛藤、怪我を克服する苦悩。競馬の良さを詰め込んだ良い映画だった。
佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!
主人公は個性のないどこにでもいる普通の男。高校時代に突然現れ、高校卒業とともに生活から消えた「佐々木」は、なんてことなかった主人公の人生に火をつける。ラストシーンの>>続きを読む
「あの頃おもろかったな。でも、今泣いてる自分もおもろいんちゃう」
あの頃、という題名からは過去への憧憬を抱く主人公の話かと思われるが、この作品は「あの頃」の楽しい思い出を胸に、前向きに生きていく人々>>続きを読む
映画を観ている人の中で作り上げられていく恐怖。見たことのない種類のサスペンス。
ドラマのようなチープな作りだけど、切実な感じがした。シーヘルの自分自身に言い聞かせるような言動がつらかった。