えいこ

チョコレートドーナツのえいこのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.4
切ない映画でした。偶然出会って作り上げた家族の大切な日々が失われてしまったことに、ルディの歌がかぶさって涙。

ルディの真っ直ぐな愛と勇気。自身も偏見を乗り越えてきたからなのだろう。ポールもルディに影響されて素直に変わっていく。それは、無垢なマルコが一緒だったからかもしれない。他人から何かを受けとるだけに見えても、必ず、与える何かが存在する。ルディもポールも、マルコを世話し、教えながら、ありのまま慕ってくれるマルコに、肯定され癒されていたに違いない。

70年代の差別観を思い出せないほど、今は開かれてきたように見える。でも、法や制度、社会通念に怯え傷ついている人たちはたくさんいるのだと思う。ポールの元上司のように、明らかな悪意でなくても、無意識の偏見も怖ろしい。

マルコが笑顔になるとホッとする。ダンスシーンも嬉しくなる。にじむような夜の灯りの中、アシュリーを抱きしめて、ひとり歩いていく姿に胸が締めつけられる。
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