JIZE

プリズナーズのJIZEのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.5
今作魅力は単的な誘拐映画に陥没せず,父親の神経症気味な狂気さを大局的に提示し,途切れない緊迫感を不可解的に持続させたケラーの心情表裏にある。囚人の定義も,ある言動を機にダーク側に乖離し,理性すら制御不可能になる様に対し,絶対的倫理は据えず,善悪の判断を鑑賞者に委ねた点は評価に値。
ロキ刑事含む警察側を俯瞰的に捉え,ケラー含む尋問を通じた真相部分を大局的に据えて,失踪事件を追尾した点は優秀。失踪事件より父親の動向(感情),真犯人より囚人の意義,に話自体の趣を据え,懐疑さを介したロキ刑事の動向は,鑑賞者と対をなす虚像を心情投影させ,誤読する余地もあり見事。
アレックス問題でも,10歳程度のIQでRV車の運転無理では?,失踪事件が起きた釈放翌日に夜道であの「ジングルベル♪」⁉︎等不可解な理に落ちない箇所は残る。が, "囚われ者達=プリズナーズ"の真意を起動する為に不可欠な存在だし,真犯人と表裏を成す人物である事が存在を通じ非常に重要。
総評。悪因はサスペンス映画として正統派を貫いた本作が急遽ER間際で信仰側に理由付けされ着地した締め方。何より誘拐部分の描写が欠如し会話上で誤魔化され処理されてる点。RV車に物的証拠が皆無なのも謎過ぎで,失踪描写が1分でも自白描写を通じ描かれれば,緻密的な伏線も功を成し完璧だった。
またロキ刑事がケラーの尋問家に失踪捜査を踏まえ訪れる場面でも,捜査より電話優先⁉︎等。良因は映画全体の田舎町を模様した巧妙な暗的空気感で。作中では,曇天や雨等の冷え切った雰囲気が随所に演出され,世界観の創造を物語に投影させ絶妙にシンクロ体現を果たした構成は評価に値。是非オススメです!!!
JIZE

JIZE