長靴を吐いたネコ

ジュラシック・ワールドの長靴を吐いたネコのネタバレレビュー・内容・結末

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

総合評価 3.5 → ☆3.6

「シナリオ」 (1.0) … 3 → 3
「演出全般」 (1.2) … 4 → 4.8
「心理効果」 (1.5) … 4 → 6
「視覚効果」 (1.1) … 4 → 4.4
「音響効果」 (0.9) … 4 → 3.6
「教養/啓発」 (0.8) … 3 → 2.4
「俳優/声優」 (0.7) … 3 → 2.1
「独創性」 (0.8) … 3 → 2.4
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【ストーリー】
マンネリ化した恐竜テーマパークで刺激の強い見世物を創るために遺伝子を弄ってたけど、その担当がマッドサイエンティストかつ産業スパイ的な人だったので、とんでもない恐竜が産まれてテーマパーク崩壊。そのハイブリッド恐竜、インドミナントレックスに観客含む島の全員が虐殺されそうなとこで、主役達人間と、Tレックスと、ヴェロキラプトルで共闘して撃破。止めはモササウルス(♀)。
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【魅力】
・映像
・馴染みの音楽のアレンジ
・胸アツ展開

【不満】
・浅すぎるシナリオ
・ハイブリッド恐竜の掘り下げも浅い

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【少し突っ込んだ感想】

「ジュラシック・パーク」☆2.9

「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」☆2.4

「ジュラシック・パークIII」☆2.5

今作。

今見直すと、やはりCG・撮影技術の進化が目に見えて判る。2作目なんかは明らかに不自然さを誤魔化すために暗いシーンばかり使って、3作目は割と誤魔化し無しで勝負していた印象だけど、やや動きが地味。今作に至っては、画質も動きも充分に期待に応えるレベルに改善されていたと思う。

ちなみに、2作目は一般的な評価自体極めて低いので言うまでもないけど、3作目は見ていてもの凄く違和感を感じた。一応自然に適応して繁殖している設定なのに、恐竜以外の生物を殆ど見かけた記憶が無いからだと思う。中生代の爬虫類以外の生物までは流石に期待しないけど、一応食物連鎖は演出して欲しく、さすがにそれは草食恐竜と肉食恐竜だけでは完全にパーツが不足しているので、無機質な感じがしたんだと思う。多分、直前に恐竜博物館に行ったのが影響しているかも…。

まあ、要するに戦争モノでも兵站までキチンと描いたほうが断然リアリティが増すし、仮に長期戦の舞台で、まったく兵站が考慮されてないと、J3と同類の違和感を感じると思う。うん、そういうことにしておこう。

その点、今作はちゃんと餌やりシーンを数回に渡って挿入していたので、そういう細かい演出がリアリティを補強しますね。あと、インドミナント・レックスが、食料目的じゃなくて虐殺目的で暴れている、という設定をキチンと言葉にして表現していたのは高評価。食べ残し多発のゾンビ映画のような違和感は感じないので。なかなか几帳面な監督なのかもしれない。少なくともスピルバーグ御大よりは好みです。

しかし、今作で最も評価できるポイントは、やはり最後の主役とTレックスとラプトルの共闘だと思います。前作まで、あんなにウザかった彼等と手を組んで、強大な敵に立ち向かうなんて、まるでピッコロと手を組む時のDBZや、悪魔超人と正義超人との同盟戦が始まった新キン肉マンを読んだ時に匹敵する胸熱感。なんていうか、ものすごく「解ってらっしゃる」監督だと思う。

逆に、個人的にあまり評価できない点は、やはり先の展開が読めすぎるシナリオ。これはもう既に必要条件となっているのかも知れませんが、それにしてももう少し、「想定外」の要素を含めて欲しいな、とは思う。初見からして中だるみを感じてしまう。演出も特に奇抜なものでは無かったし。

あとは、ハイブリッド恐竜が、せっかくイカやらカエルやらの遺伝子ゲットして、プレデターばりの特技を身に付けたと言うのに、それを生かしたのは序盤のほんの少しだけで、あとは高度なはずの知能も大して生かさず、凶暴なだけの脳筋恐竜にしか見えなかった。ヒックとドラゴン的な洗脳もしてたけど、あの演出は少し解りにくいし、そのネタなら主人公と共闘を選ぶシーンでもう少し…いや、かなりの感動を演出できたと思う。

まあでも、次作でもの凄く面白い展開にできる足がかりは出来たと思う。人間との共存を望む派閥と、捕食を選ぶ派閥とに別れて戦争とか始めてくれたら楽しいだろうな(ハァハァ


【蛇足】
翼竜のウザさは非常に良く表現できていたと思う。彼らによる被害が一番大きそうだけど、まあジュラシックシリーズは特に、主役関係者以外の命は軽いので問題ありませんね、うん。