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徳川セックス禁止令 色情大名のGTのレビュー・感想・評価

4.4
「下々の民が性の快楽を楽しんでいる事に嫉妬した殿様がセックス禁止令を発布する」という内容だけ見ると非常に馬鹿馬鹿しい映画。実際馬鹿馬鹿しいシーンも多く、セックスしたことのない殿様のために太鼓を打って腰を振るタイミングを教えたり、処女膜を箱に入れてそれを丁重に保管したりと、その仰々しさとやっていることの下らなさのギャップに、思わず大爆笑。
しかし、只管下らないだけじゃ終わらないのがこの映画。ストーリーは基本上のようなのだが、いちいち言っていたらキリがないくらい、インパクトの強い出来事が次々に起こる。ストーリー上あまり必要とは思えないフランス女と黒人女のレズセックス、そしてカタコトの「キガクルイソウ…」、森田の婚約者である梢の明らかに嗜虐趣味を滲ませたエロティックな切腹シーン、息を首に吹きかけられながら「栗鳥の巣」を湿らせるシーン…などなど、胃もたれがしそうなくらい滅茶苦茶な事が起こりまくる。また直接本編とは関係がないサイゲデリックで意味不明なシーンも。博多屋が殺害されるシーンはデヴィッド・リンチばりのトリップ感があるし、サンドラと清姫の同性愛的イメージ映像は何のために入れたのか全く分からない。「ジュテームはさよならのはじまり」という、世界観を完全に無視した挿入歌が流れるのもシュールな笑いを誘う。
三十数年間性交渉をしてこなかった童貞のおっさんが、「性」を知ってしまったために狂い始めるというストーリーは「性」を考える上で非常に示唆に富む。「何人たりとも性を検閲することはできない」。終わりに現れるこの言葉は散々「性」を見せつけられた後に見るとなんとも感慨深いものがある。
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