餃子夫人

太秦ライムライトの餃子夫人のレビュー・感想・評価

太秦ライムライト(2013年製作の映画)
4.0
5万回切られた男、福本清三の晩年の物語
2014年公開 ファンタジア国際映画祭で最優秀作品賞と日本人初の最優秀主演男優賞受賞。
数多くの時代劇を作り出してきた太奏を舞台に、時代劇を支えてきた人々の姿をチャールズチャップリンの「ライムライト」をモチーフに例えた作品。
「5万回切られた男」の異名を持つ切られ役俳優福本清三であり、福本清三にとって本作が55年間で俳優人生初の主演作品となった。

私は本当だったら記念の2000本目を、この映画に決めていたが色々あり今になりました。
私が福本清三という人を知ったのは、ある番組で影の支え役、殺陣指導をする事で興味がわいたのです。
夫も義父も大の時代劇ファン。
1字1句忘れずに言えるほど。
大河ドラマも時代劇は必ず観ます。だから自然に子供達も歴史に詳しくなり受験に大いに役立ちました。

我が家の話はさておき…福本清三は「悪役商会」から切られ役、殺陣指導で有名。
この映画でも出演している松方弘樹など「遠山の金さん」や「暴れん坊将軍」「水戸黄門」等など主役級の人もお世話になっているはず。
55年間の間、意気揚々とした時代もあったろう。しかし歳と共に仕事は減る。
怪我の後遺症がひびく。そのような姿でも木刀で毎夜、振りかざす姿は時代劇の裏方を引っ張りあげてきた重みを感じる。
後半、最後のシーンは息を殺して見てしまう。美しく散る姿…心に響く。
あの緊張感は福本清三の桜舞い散る映像が忘れられないと思う。

アクション映画やヤクザ映画も多数出演。深作欣二監督から撃たれたシーンでゴムで跳ね上がるところを「体にバネがあるから」と止めた逸話あり。それだけ身体能力がある人だったのだ。
2002年には「ラストサムライ」に出演。英語版公式サイトで「kirareyaku」と明記される。
トム・クルーズからは定年はもったいないとハリウッドにおいでよとも言われている。
映画は暗い影をおとす作品のようだか、役としての周りから信頼関係が厚く言葉少ない男の切られ役最後は時代劇が少なくなり、若者が(例えばジャニーズ系)2足のわらじをやるのではなく真の役者魂を見せつける。
近年は演技が決して上手いという若者が少ない。
伝説になる役者は努力を惜しまないのだ。(マツケンサンバ…それはそれで良いのだ笑)
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