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マッドマックス 怒りのデス・ロードのEditingTellUsのレビュー・感想・評価

3.6
お恥ずかしながら、この素晴らしい歴史に残る作品を初めて観ました。映画ファンを気取っていたことをここにお詫び申し上げます。
何と言ってもこの作品で圧巻なのは観るもの全てを魅了する超迫力のアクションシーンです。この映画の8割以上を占めるんじゃないかと言うほどの、カーチェイス+アクション。しかも、コミックの要素を取り入れながらも、映画として素晴らしい映像に仕上がっていました。

撮影
実際にアフリカのナミビアまで撮影に行ったりリアルな砂漠の映像はまさに映画。アクションシーンは撮影、スタント、演技、ディレクションの全てが噛み合わないと、迫力の映像は撮れないし、スタントやクルーの命の危険にも関わる、とてもリスキーなものです。今の時代あの会社の多くの作品のアクションは莫大な資金を使ったVFXで片付けられているようなデジタル映画の時代です。しかし、ジョージ・ミラーは1980年代にマッドマックスシリーズを作り、そのイメージ、雰囲気を保ちながら、デジタルの力も借りた素晴らしい仕事をしてくれました。
イギリスの映画界の伝説でもある、ジョージ・ルーシの昔ながらの撮影もとても良かった。あの大敗した砂漠の砂埃と燃え盛る炎、そして定フレームレートでのスピード感の出し方なども、コミックのテンポ感をうまく出していた。

編集
映画編集の大きな要素の一つがアクションカット。この作品はほとんどがアクションカット、複数カメラを使った壮大なアクション、この編集は狂気の沙汰どころじゃない。緻密にストーリーボードが作られていたとしても、えげつない。常に視聴者を飽きさせないための、リズムの作り方、リズムの落とし方は、すごいとしか言いようがない。どう言う技術を使って、どう言う工夫をしているのかは想像もつかない。スクリプトの存在しない大きくビジュアルに頼ったこの作品のアクションカットは歴史に残ること間違いない。

音響
この作品の50%はオーディオの力だと思います。編集との統一性のある音楽、音圧と層の重なりがすごいカーチェイスシーンでのサウンド、そして映画のいくつかのシーンやアクションシーンの中で、一際目立ち、効果のある無音。これがあったからこそ、この映画の世界観が出せたんじゃないかと思います。

白黒上映はあっても、サイレント上映はないってことよ。
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