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マッドマックス 怒りのデス・ロードのRのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2015年のアメリカの作品。

監督はシリーズ全てを手がけたジョージ・ミラー。

あらすじ

世界が崩壊してから45年後、文明が滅び、荒廃した世界。かつて警察官としての使命に燃えながら妻子を亡くしてしまったことで生きる希望を無くしてしまった男マックス(トム・ハーディ「ヴェノム:レット・ゼア・ウィル・ビー・カーネイジ」)はあてのない旅の途中、独裁的な支配者イモータン・ジョー(ヒュー・キース・バーン「地底探検/アース・エクスプローラーズ」)率いるウォー・ボーイズによって捕らえられてしまう。そんな中、ウォー・ボーイズの大隊長フィリオサ(シャーリーズ・セロン「ワイルド・スピード/ファイアー・ブースト」)が5人の「子産み女」たちと企てた逃亡計画によって、図らずも脱出に成功したマックスはフィリオサと手を組み、フィリオサの故郷である「
緑の地」を目指す!!

来る来週5/31に遂に、遂に、遂に、「マッドマックス」シリーズ9年ぶりの最新作にして、初のスピンオフである「マッドマックス:フィリオサ」が公開!ということで過去作は一応全部観ているんだけど、当時リアルタイムでその衝撃を受けた本作だけでもおさらいしておこうと思い、再鑑賞。

当時の俺はぶっちゃけ「マッドマックス」シリーズのことをなんも分かってなくて、「北斗の拳」的なアレでしょ?程度の認識だったわけなんだけど、そっから確かサッカー日本戦の途中で放映されたCMに衝撃を受け、過去作を当時一挙放送していた午後ローで一気見して、渋る友だち3人を無理やり誘い、リアルタイムで映画鑑賞したわけだが、やっぱ今思い返しても度肝を抜かれた記憶がある。

ただ、その当時は映画にまだまだハマり途中だったこともあり、どこがやばかったのかあまり噛み砕けぬまま、ここまできてしまったので再鑑賞となる、このレビューでは自己満で書き殴っていきたい!!

ということで、お話はあらすじの通り、話の骨格は、世にいう「行きて帰りし物語」そのまんまの行って、帰ってくるだけのシンプルな構造。ただ、もうそれを彩る絵力の強さ!!

まず、冒頭からカッコ良すぎるっ!!今作の世界観そのものを一発で伝える「ブルンッ!」というエンジン音の効果音を使ったスタジオロゴから始まり、世界が崩壊するまでを端的に映像で説明した後は、メルギブから代わる、新たなマックスを演じるトム・ハーディによるナレーション「狂気に取り憑かれたのは俺なのか、それとも世界か」という暗転している場面だからこそ、そのセリフ一つの意味合いが伝わってくる、カッコ良すぎるセリフからの、愛車であるスーパーチャージャーV8インターセプターと共に荒野に佇むマックスの後ろ姿から始まる冒頭…いや、カッコ良すぎる!!

もう、ここだけのシーン一発で観客の心を持っていく、凄さよ。

で、そっから過去に妻子を亡くしたこと、それによって過去の亡霊に囚われ、生きる希望を無くしてしまっているマックスのバックボーンを伝えつつ、ウォー・ボーイズたちに捕まったマックスが一味が占拠する砦にてスピーディーかつアクロバティックな捕物劇をものすごいパワーで魅せていくシークエンスからの遂に始まるカーアクション!!

だだっ広い砂漠のど真ん中をフィリオサ率いる女たちを乗せた大型移動要塞ウォー・タンクを追って、イモータン率いる物々しくも、魅力的な改造マシンが次々と登場していくわけだが、ニュークスカーをはじめとした、翼のような排気管からものすごい勢いジェット噴射するメタメタの改造ホットロッドから始まり、1959年キャデラック・デビルという車を上下に重ね合わせたという、まさにイモータンが乗るに相応しい、厳し過ぎるギガホース、そしてなんと言っても劇中ではキャラの重要度や話の展開云々以上に1番観客の度肝を抜く、後部から「ズンドコズンドコ!」と雄々しく4連太鼓を男たちがぶっ叩きつつ、その前面では、巨大スピーカー、拡声装置、改造空調ダクトが高く積み上げられ、爆音ステージに改造されたトラックのフロントで火炎放射機能付きのダブルネックギターを一心不乱にかき鳴らすドゥーフ・ウォーリアーを乗せたバンド・ワゴン!!

つか、冷静に考えると雰囲気を盛り立てるためだけの軍団専属のバンドリーダーってなんだよ笑!とツッコミたくなるが、真っ赤なタイツみたいな衣装を着た盲目の男がバンジーでピョンピョンしながら、ものすごいハイテンションでギターを演奏する様がものすごくROCKでまぁ、とにかく開いた口が塞がらないっ!!

まさに今作のもう一つの主役はこの改造マシンたちであると言っても過言ではない。

ただ、やっぱそんな改造マシンを操る本作のキャラクターたちもまた魅力的なわけで!!

主人公マックスを演じるハーディはメルギブとはまた異なる「寡黙な男」マックス像を体現しつつ、見た目のゴツさに反して、現代風にアップデートされたカッコ良すぎる「ニヒリズム」と所々で仲間たちに見せる「仕草(特にスプレンディド(ロージー・ハンティントン=ホワイトリー「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」)に見せる👍がめちゃくちゃグッとくるっ!!)」の茶目っ気のギャップに惚れる漢の中の漢だし、やはりなんと言っても女大隊長フィリオサ様!!あの女傑中の女傑シャーリーズ・セロンが演じているから男女問わずその勇ましさに惚れてしまうほど、ビジュアルはとにかく完璧なわけなんだけど、全編通して活躍しまくる、まさに実質的な主役として、とにかく加速度的にカッコ良さがブチ上がりしていく映画史を代表する新時代のアイコン的なキャラクターとなっていて魅力を書くには字数が足りねぇ!!

また、悪役もエキセントリックかつキャラ濃過ぎな面々で、そりゃ、やっぱみんな大好きイモータン!!演じるヒュー・キース・バーンはシリーズ一作目でトゥー・カッター役も演じてたわけなんだけど、その時よりも白髪ロン毛、馬の歯や骨や機械を組み合わせた独特すぎる酸素マスクを装着し、全身を真っ白にペイントしたそのボディにはスケルトンのプレキシガラス製の防弾鎧を身につけているという見た目だけでもインパクト絶大!!また、そんな見た目に反してやり口は割と合理的で資源と跡取りを産むための「子産み女」と酷いすぎる名称をつけられる美女たちを独占し、そのカリスマ性で狂信的なカルト集団の教祖的にウォー・ボーイズたちを掌握し、独裁帝国を築き上げる、まさに支配者中の支配者!!イモータンの狂信的な側面として現されるウォー・ボーイズたちが手の指を突き合わせて高く掲げる「V8!!」というキャッチーすぎるポーズも当時今作を観た誰しもが真似したわけで、やはり改めて観てもこのボスキャラの存在意義はそれまでの悪役像を霞ませるほどに存在感が絶大だ。

他にも「子産み女」たち、1人1人もみんな違った圧倒的ビジュアルの美女揃い(個人的にはコートニー・イートン(「ライブリポート」)演じる黒髪のフラジール推し!)だし、イモータンのバカすぎる息子リクタス(ネイサン・ジョーンズ「レジェンド・ハンター ハリウッドの秘宝」)のコミカルな存在感(その最期も「俺はリクタス!」と自分の名前を叫ぶという脳筋すぎる最期で笑った!)だったりと脇に至るまで全員キャラ立ちしまくりなわけなんだけど、忘れちゃならないのがニコラス・ホルト(「レンフィールド」)演じる、ウォー・ボーイズのニュークス!!ウォー・ボーイズの中でも末端も末端の言わばエトセトラ的な扱いをされ、病魔に侵され、残されたリミットをただ生きながらえるだけの可哀想な登場から、俺もイモータンのためにデス・ロードで派手に散る!!と勇み足で戦場に踊り出てからはそのドライバーテクで頭角を現し、一気に主要キャラに躍り出る!!また、生き抜くために必死なキャラクターの中でも1番と言っていいほどその戦場下を楽しんでいる節があり、無数の砂煙と砂嵐、おまけに妖しく光り鳴り響く雷という災害てんこ盛りの中、同志たちが戦いによって激しく散っていく様を恍惚とした表情で見上げたり、やはりなんと言ってもその激化する戦いによってテンションがフルMAXに高まっての「「What a lovely day!(サイコーの1日だぜ!)」と昂り叫ぶ名ゼリフシーンが堪んない!!改めて観ると個人的にはマックスやフィリオサ、イモータンよりも1番好きなキャラクターかもしれない!

で、まぁキモであるアクションシーンもワンシーンワンシーンがものすごいことになってる!!ウォー・タンクと軍団とのど迫力のカーチェイスを筆頭に、針だらけに包まれたマシンに乗って途中から参戦してくるヤマアラシ族と起爆する槍で攻撃するウォー・ボーイズとの戦い!!上記の砂嵐内での光と炎が激しく火花を散らすマシン同士のぶつかり合い、湿地帯での銃乱射する武器将軍(リチャード・カッター「ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊」)との「あえて見せない」マックスとのバトル、ウォー・ボーイズの1人スリット(ジョシュ・ヘルマン「小さな修理屋」)とのスピード勝負からのクライマックスのお互いが勢力をかけてぶつかり合う大乱戦シークエンスと名シーンの目白押し!!

また、その中でも特にマックスとフィリオサとの「連携」チームプレイがまた小気味良くて、初対面時の対決でのスピーディーかつ的確なテンポで魅せる攻防から相性の良さははじめっからわかるわけなんだけど、序盤のカーチェイスでのタンクのサンルーフから銃を撃って追ってと応戦するも弾切れしたフィリオサがタンクを運転するマックスに銃を渡して、阿吽の呼吸で即座にリロードしてまた渡すくだりだったり、中でも闇夜の湿地帯で追っかけてくる後続の武器将軍のマシンに対して、それまでライフルSKSという銃で応戦していたマックスからバトンタッチして、その肩をスタンド代わりに狙い撃つシーンはより一層戦いを通して、まさに「肩を預ける」間柄になったことを窺わせるカッコ良いシーンとなっていて印象的。

そうして、初めは敵対しつつも戦いを通して、固い絆が芽生えた2人だからこそ、遂にクライマックスの戦いの後で瀕死の重傷を負ったフィリオサにそれまで「好きに呼べ」と決して自分から名前を明かさなかったマックスが「マックス、それが俺の名前だ」と信頼の証として初めて自分の名前を言って自らの血を彼女のために分け与える。なんつー、名シーン!!

あとはクライマックスの戦いだとザ ・ダグ(アビー・リー・カーショウ「オールド」)と鉄馬の女のおばあちゃんとの最期の別れのシーンの哀しさや愛するケイパブル(ライリー・キーオ「Zola ゾラ」)のために、残ることを選んだニュークスのどこか満足そうな表情と「俺を見ろ。」と死に際に心に残るセリフを呟き散っていく様だったりとここも戦い以外の場面でも戦いを通して、命の火花を輝かせながら、無情にかつエモーショナルに散っていくキャラクターたちのドラマが感情を激しく昂らせていく。

そして、なんといっても戦いを終えて、再び舞い戻った砦にて、独裁者イモータンの死を囚われていた人々に伝え、取り戻した自由を喜び合う人々を尻目に1人スッと何も言わずに去っていくマックスのカッコ良さよ!!去り際何も言わずに去ろうとするマックスにアイコンタクトとうなづきだけで応じるフィリオサ、そこに言葉はいらない、敵対関係から利害関係となり、友情を超えて、信頼し合った戦友だからこそ伝わってくる「絆」のラストに心が打ち震える、カッコいい…。

これぞ、貴種流離譚にして、まさに「英雄(ヒーロー)」の物語!!まさに2000年代を代表するマスターピースだ!!

というわけで公開日は残念ながら仕事で速攻で観に行けないのは至極残念だけど、出来るだけ早く、このMADな世界を再び堪能したい!!V8!!
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