KANIO

たまこラブストーリーのKANIOのレビュー・感想・評価

たまこラブストーリー(2014年製作の映画)
5.0
元となるアニメは未見。
話の大筋は高校生を主人公としたストレートな青春恋愛映画だが、幾重にも張られたメタファーの使い方が恐ろしく効果的にキマっている大傑作。

卒業を控えた高校生である主人公(たまこ)たちの周りでは、時間と共に進路の事や人間関係の事で日常が次々と変容していく。
今まで永遠に続くと思っていた日常や人間関係や自分の環境が変わってしまう事に対する思春期の高校生だったら誰もが抱えるデリケートな内心的不安だったり、「良い」とか「悪い」で括り切れない自分でもどうしたらいいのかわからないモヤモヤした葛藤だったり、そういう日常の変容にどうやって対応していくかという所に重きを置いて主人公達の高校生活が描かれる。

行って帰る、投げて落とす、進んで止まる、将来と日常、逡巡と冒険。
いくつもの多層的で対照的なモチーフを画面の中繰り返し、様々なメタファーとして描かれる「回る物」や「行って帰る物」。
それらは最終的に全て、ヒロインのとある1つのアクションに到達する。
その瞬間、全ての登場人物は等しく「スタートライン」に立ち、物語が「始まり」を迎える。
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