鹿江光

ジュピターの鹿江光のレビュー・感想・評価

ジュピター(2014年製作の映画)
2.3
≪45点≫:娯楽のSF、中身は薄い。
ウォシャウスキーの作品は、彼らの哲学を語るためにSF世界を舞台装置として巧みに使うイメージがあったが、本作は意外にもSFそのものを娯楽として扱っている。SFの世界観が主体で、それ以上以下でもない。過去の作品に対するオマージュも多い。
作品に含まれる主張がSFの世界から抜け出して来ないのが、『マトリックス』や『クラウドアトラス』とは異なる大きな差だ。全てが作品の中だけで完結している。まぁ映像の最新技術の披露と、ウォシャウスキーというネームバリューが光るだけの作品と言える。
『ブレードランナー』とか『スターウォーズ』のようなオマージュがあり、「高次元惑星の王族による人類の栽培」という大きなSF要素も魅力的ではあるが、娯楽映画として完成されているのが勿体ない。
ただSFの映像作品としては最高にクール。相変わらず武器や装置には心が擽られるものばかり。あの反重力装置とかそのうち商品化しそう。あとエディ・レッドメインの悪役がすごく咬ませ犬で良い。そしてペ・ドゥナがちょい役で残念。
期待していた分、何もかも物足りない作品だった。
鹿江光

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