harunoma

ソロモンの偽証 前篇・事件のharunomaのレビュー・感想・評価

3.9
道徳の系譜学、悪は存在しない、する。
悪が存在しないならば、善もまた。

松竹120周年記念作にしておそらく最後のまともな何か。
時として、裁判への行動と決断の末の母娘の学校の廊下のシーンは、言葉なしのドラマの持続があったりもした。フィルムかも知れぬ。凛然とした少女の不意の涙は持ち越される。35mm,時によい藤澤順一。
wowowドラマ版は全然ダメだったが、映画は普通に中学生でよい。
キャスティングされた生徒役たちが、その後の目立った活躍がないのが、呪われているのか、尾野真千子という回想の語り手がギャグなのか、マンスフィールド・パークと比べて確かに死はあるが、主演二人の恋愛はない。むしろ自殺すべきは、あの同性の少年ではない方が違う物語になったろう。パワータイトルが気を引く。10年に一度見直すくらいが忘れててちょうどいい。原作も未読だし、映画化された宮部みゆきの映画は、ほぼ意味不明だが、これはドラマであった。
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