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ペレ 伝説の誕生のdubstronicaのレビュー・感想・評価

ペレ 伝説の誕生(2014年製作の映画)
3.5
神様「ペレ」の誕生と当時のブラジルサッカー(ジンガ)が素晴らしいですよ、という流れと共に、逆境の中でも自分と仲間を信じて頑張ろうという映画。

ブラジルのスラム街で、父は元サッカー選手ながら膝の故障で清掃員、母もお屋敷の家政婦のような仕事をしながら生活を支えている。スパイクもボールもなく、干してある洗濯物を丸めてボール代わりに近所の悪ガキたちは球蹴りを楽しんでいたんですよ、というところから、プロ選手になり、代表選手になり、初の栄光を手にするところまでが今回のストーリー。

だいぶんかけ足気味になったり、試合シーンにギミック的なカメラワークが入ってきたり、はたまた対戦チームの描き方がデフォルメチックだったりする事が気になりながらも、それでも相当ウルウルしながら観てしまった理由は、もうセウ・ジョルジ扮する朴訥なペレのお父さんの試合観戦時のテンションが素晴らしすぎたからです。

対比的に、17歳で代表デビューしながらも自身のスタイルはブラジルサッカー界からは古臭く通用しないものと虐げられて控えめで気が弱そうにすら見える17歳のペレ役のケヴィン・デ・バウラ(俳優ではなく、サッカーがうまくペレに似ている英語が話せる少年、という理由でスカウトされた。なんと公式サイトのキャスト欄に名前がない!)の純朴さと相まって、普段は朴訥とか寡黙以外の何物でもない父が、試合で息子が活躍するたびに我を忘れて絶叫する父のその表情に(決勝では母まで絶叫!)イチイチグッときてしまうのだ。

ペレご本人のカメオ出演シーンでみんなが穏やかに沸いていたのが微笑ましく、この映画を象徴しているかのようでした。
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