Chiaki

サード・パーソンのChiakiのレビュー・感想・評価

サード・パーソン(2013年製作の映画)
4.3
公開された時から、豪華な俳優陣が気になっていた作品。けれど周りの評価はそこそこで、段々と私の記憶から薄れていってしまいました。
しかしながら、この映画が記憶から消えることは、二度とないでしょう。二度と!!

ニューヨーク、パリ、ロンドンで、それぞれの男女のドラマが交差しながら進んでいくストーリーに、初めは一体なんの関係性があるのだろうと疑問に感じていました。
しかし、そんなことを考える暇を与えないくらい、ひとり一人のキャラクターが複雑で難解で、釘付けになる物語でした。
ただどの男女も、微笑ましいラブロマンスとは決して言えない恋愛で、誰かを失う悲しみ、なぜかやりきれない思いが残るのが共通点に感じたこの映画…最後に全てが結び付きます。

あぁ…なるほど…!!

良く考えれば分かりそうだった。
今までありそうで無かった。
でも素直に、とても面白いと感じられました。

全てを察した瞬間、心が救われたような、解放されたような、一種のアハ体験なのでしょうが、そんな映画が久しぶり過ぎて、達成感さえ感じました。
冷静に考えれば、シンプルな構成なのですが、私はとてもこのラスト、というか、この映画が好きです。


そして気になっていた豪華な俳優陣は、期待を裏切りませんでした。

この映画の重要なキーを握っているのが、リーアム・ニーソン演じる、訳ありの過去を持つ小説家マイケル。若さ弾けるその他の共演者に、引けを取らぬ色男を演じています。そして漂うエロス。彼こそ本当のエロジジィだと思ってます。
また今作で私を忽ち虜にさせたのは、マイケルの愛人アンナを演じたオリヴィア・ワイルド。何処と無くキーラ・ナイトレイに似た顔立ちに惹きつけられましたが、あの体当たり演技に圧巻。大人の恋に溺れながら、時折ピュアな乙女心を晒すアンナのキャラクターも、どストライクでした。そんな彼女が最後に見せた表情、、。憎悪、悲哀、疑念、頭から離れなくなる程、何かを猛烈に訴えるような眼差し。あんな顔されたら追いかけずにはいられない。しばらくオリヴィアのその表情が脳裏に焼きついていました。

そして最も注目していたエイドリアン・ブロディは、安定の不運男っぷりを見せてからのどんでん返し。本当に可哀想だなと同情をそそるかと思えば、何か秘密を隠し持っていそうな余裕を見せる。なんだこいつは。そして……一本取られたぜ。

とにかく予想外に私にとって衝撃の多い映画でしたが、知名度もそんな高くないと思うので、ぜひより多くの人に観て欲しいです。この観終わった後の謎の達成感を分かち合いたい。
とりあえず「全裸で爆走するオリヴィア・ワイルド」で広めていきたいと思います。
Chiaki

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