まじさん

トゥモローランドのまじさんのレビュー・感想・評価

トゥモローランド(2015年製作の映画)
2.3
70年代のポストモダンを取り入れたレトロ・フューチャーな建築様式と、ジュール・ヴェルヌのビクトリア朝様式の乗物などが最高にいい。冒頭のニキシー管タイマーに、心奪われる者には、たまらないデザインの数々!『ロケッティア』風のスチーム・パンクなジェット・パックも素晴らしい。
エッフェル塔のマホガニーに真鍮の窓枠とか、歯車とか、悶絶するくらい素晴らしいデザインだった!

トゥモローランドでの無駄に長い長回しは、必要なのかわからなかったが、建築物や乗物などを眺めるだけなら、素晴らしいシーンだった。

ディズニーが開発したアトラクション用ロボットの名称オーディオ・アニマトロニクスを、アンドロイドの総称として使用する辺りも面白い。だが、張り付いた笑顔や、コミカライズされた動きが『GoGoガジェット』に似ていて、辟易した。また、徹底的に血を見せない作風と、子供を主人公に据え、子供2人、お姉さん1人、大人1人の構成が、完全にディズニーのレトロなファミリー映画。主人公には片親しかいないのは、最近のディズニーのテンプレだ。壮大なテーマに見えて、詰めの甘い残念な脚本だった。
どうしても『ウィッチ・マウンテン』に見えてしまい、アガらなかった。

選ばれた者だけがピンバッジに触れると、ビジョンが見えるようだが、少年時代のフランクは、バッジに触れても見えなかった事や、そもそもトゥモローランドが何なのかとか、歴史とか、根本的なトコロがイマイチよく分からんかった。

世界の滅亡を前にして、そのビジョンネタに金儲けしか考えない企業とか云うセリフがあったが、それはどう考えてもディズニー…。「おいおい、悪い狼がナンカ言ってんぞw」と、穿った見方しかできない悪いオトナになっちまったと、ちょっとだけ思ったりした。

「イッツァ・スモール・ワールド」は幼い時のトラウマなので、映画でもやっぱりコワイ。脳内ループソングを唄って踊る人形の群は、狂気しか感じない。チラリと写る動く日本人形は、かくも恐ろしいものだった。ディズニー唯一の絶叫マシンだと思っている。
唯一だ。

しかし、映像は美しい。デザインも去ることながら、新しいドルビー・ビジョンでソフト化を予定している作品だけあって、気合の入った映像美には感嘆する。シネマスコープ版だと、上下が切られて画面が小さく見えてしまう上映もあるようなので、観るならIMAX鑑賞をオススメしたい。IMAXの画角なら、上下が切られる事もなく、フルスクリーンの世界観を楽しめる。

失われゆくトゥモローランドを、来年6月で終了となるディズニー・シーの傑作アトラクション「ストームライダー」に、思いを重ねて観るのがいいと思う。

あと、アテナちゃんはカワイイ。アレは普通のオトナをロリコンにする危険な可愛さだった…。
どうやら、ディズニーの子役の採用基準「どこにでも居そうな可愛くない子」は、ここ近年、見直されたようだ。