キミシマユウキ

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生のキミシマユウキのレビュー・感想・評価

3.9
スーパーマンがゾッド将軍と死闘を繰り広げていた街にいたブルースウェインはその甚大な被害を目の前にしてスーパーマンの存在意義に疑問を覚え始める…

『マンオブスティール』からついに始動した
【DCエクステンディッドユニバース】シリーズの第二弾!
ついに迎合する伝説のスーパーヒーロー!
バットマンとスーパーマンが出会うお話。
TOHOシネマ新宿のIMAXで鑑賞。

※熱量によりかなり長くなるので項目に分けて書いていきます。ネタバレはしないので暇な方以外は流し読み程度でどうぞ。

・予習必須作品
⇒『マン・オブ・スティール』(2013年)
人気のヒーロー達なだけあってそれぞれの主演映画が多く(実写映画のみでスーパーマン6作、バットマン7作)、どこから見ていいかわからない方も多いと思うが今作を見るために必要なのはこの一作だけだろう。今流行りのリブート(再始動)がされているので今までのシリーズとの関連性は全くといっていいほどない。
ただし逆に言うとこの作品だけは見ておかないと物語の性質上確実に置いてけぼりを喰らうのでマストで確認しておきたい。また、スーパーマン以外のキャラクターに対する説明描写が不親切で初心者に優しくないので100%楽しみたい方は
・ジャスティス・リーグ
・メタヒューマン
などを事前に調べておくとより楽しめるだろう。

・脚本、ストーリー
⇒★★★☆☆ 3.4
これは今作が本国でも賛否両論分かれている大きな要因の一つだ。とにかくシリアス一辺倒で話は暗くて真面目。さらに素人殺しの説明不足で不親切だ。
これは『アベンジャーズ』シリーズのMCU(マーベルシネマティックユニバース)との差別化を計るための作戦なのだがその時点で観にくる層は限定されてしまうだろう。
マーベルが

「全年齢対象♪子供もオタクも楽しめる万能ヒーロー映画がはっじまるよぉ~~ん♡」

なのに対してDCは

「おらアメコミファン共、こういうシリアスでゴリゴリなのが観たかったんだろ?
え?キャラの背景とか知らない?いや勉強してこいよ!オラ!金出せよ!!」

みたいな感じだ。
そもそも脚本×原案にデヴィッドSゴイヤー(『ブレイド』『ゴーストライダー』『ダークナイト』等の暗く重厚な作品に関わっている)がいて、製作総指揮にリアル路線の第一人者クリストファーノーラン監督がいる時点で映画ファンの方々は察しがついていたはず。
合う人には合うし、合わない人には合わないのがこの世界観なのだろう。
結構キャラの予習などをしてきたつもりの自分でも何回かキョトンとしてしまった場面もありやはり壮大な”ジャスティスリーグ”に向けての序章ととらえるのが一番かと思った。
一つの作品としての脚本は正直中途半端だが大きな目で見てきっと数年後にもう一度鑑賞するととても重要な位置にあることは間違いないのだ。

・映像、アクション
⇒★★★★☆ 4.2
これに関しては最初から不安がなかった。なぜなら監督のザックススナイダーは代表作『300』や『ウォッチメン』からわかる通り斬新な映像を提供する天才。
自身もはっきり
「映画はヴィジュアルである」
と発言しているほど。
さらに撮影もザックスナイダー監督作品を担当していたラリーフォンとなればもう安心。最新技術により最高の映像をIMAXで体感できるだけで評価4以上を付けたくなるクオリティだ。
アクションもしっかりスーパーマン、バットマンそれぞれの見せ方、いや魅せ方を理解していてよかった。どちら贔屓にもならないちょうどいいバランス。
グチャグチャのゴッタゴタになりそうな乱戦もとても見やすく撮れていました。ザックさんさすがです。

・キャラ、キャスト
⇒★★★★☆ 4.1
前作『マンオブスティール』から続投しているキャストは割愛。スーパーマン似合ってます。

バットマン/ベンアゴレック
これが個人的には嬉しい誤算。
本国で彼の配役を反対するアンチサイトまであると聞いたときはどうなるかと思ったが、このバットマンは今までで一番コミックやアニメ、ゲームに近い”ブルースウェイン”像を演じていたんじゃないだろうか?
ピークを過ぎて壮年期に差し掛かったバットマンの少し哀愁漂う雰囲気などは完璧。ベンが持っている死んだ冷たい目がそのまま活きた印象だ。訓練シーンでの彼の筋肉も申し分なく、相当この役のために頑張ったのだなとわかる。
バットマンやモービルのヴィジュアルはゲーム寄りでとてもクール。きっとクリスチャンベイルのバットマンが好きだった方も気に入ってくれるはず。

レックスルーサー/ジェシーアイゼンバーグ
最高すぎて笑った。
『ソーシャルネットワーク』や『グランドイリュージョン』等今までのウザったらしい早口なアイゼンバーグ節を最大レベルにまで出力した新たなレックスルーサーのキャラ。過去のジーンハックマンやケヴィンスペイシーの濃ゆい俳優達にも負けず劣らずの存在感を発揮していた。
「赤いマントが来るぞ…赤いマントが…」のセリフのときは好きすぎて鳥肌がたった。

ワンダーウーマン/ガルガドット
まさかイスラエル出身のモデルがここまでスターダムを駆け上がっていくなんて誰も思わなかっただろう。
これだからアメリカンドリームってやつはやめられねぇっ☆彡
『ワイルドスピード』シリーズの出演によって一気に知名度が上がった彼女が早速大役に挑戦。おそらくDCに詳しくない人は彼女を見て
「は??誰コイツ?は?」
と半ギレで劇場から立ち去ろうとするかもしれませんがぐっとこらえて、来年公開予定彼女主演の単独映画『ワンダーウーマン』にてキャラの設定や疑問は解けると思うのでしばしお待ちを。『スタートレック』のクリスパインも出るよ♪

他には執事のアルフレッド役のジェレミーアイアンズや日本のモデルだったTAOさんなどが好演していた。

・総括
⇒★★★☆☆ 3.9
個人的にはまったくもって悪くない。これから始まる壮大なDCユニバースにかなり期待が膨らむような作りになっているし、今作自体も十分に勉強してきた甲斐があったのかとても楽しめた。
ただし世間的にはどうなのだろうか?大手レビューサイトの某トマトでは脅威の30%を記録し、それを聞いたベンアフレックの哀しげな顔のコラ動画が700万再生を超えているとか(笑)
そもそも映画を観るのに予習しておかないと楽しめないという状態がいかなるものか、MCUの『アベンジャーズ』なんかはその点どこから見ても楽しめるようにとても考えられていたから歴代興行収入3位にまでのし上がれたのだろう。
まとめると、

自分は好きでしたが人を選ぶ作品です。

~オマケ~

この作品で起きる問題に対する解決策は日本の名作漫画『ドラゴンボール』が教えてくれてるじゃないか

悟空みたいに

「ここは人が多い、場所を移すぞッッ」

って言って荒野で戦えばよかったんじゃね最初から?笑

アメコミ映画好き、バットマンとスーパーマンの世紀の対決を観たい方、そしてこれから始まるDCユニバースの波に乗っかりたい方にはオススメの作品。