JTKの映画メモ

卍 まんじのJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

卍 まんじ(1964年製作の映画)
4.5
食わず嫌いでもなく、たまたま見る機会がなかった増村保造監督作品初鑑賞。
めっちゃいいわ。特にいいのは偏執狂的にスタイリッシュな絵作り。衣装から女優さんの顔の配置から諸々病的までに拘り抜いた色彩と構図。
変態ですね。
いや、素晴らしい。
さらに、谷崎潤一郎原作のせいなのか、まーエロいエロい。
危険なほど美麗な若尾文子の乳首見せるわけでもお尻の割れ目すら見せない裸が裸以上にエロい。見せない故に逆に匂い立つ濃厚なエロさ。
襖越しに聞こえる衣摺れの音。
あー、エロい。
岸田"ムーミン"今日子、船越英二、川津祐介のキャスティングも見事で。不穏なクラシカルな音楽も抜群。
ルイス・ブニュエルとかの系譜の変態監督だわ。これ一本しか観とらんのでまだわからんが。
モダンな。日本的ではないというかヨーロッパ映画みたいな感触。凄く気に入った。
他の作品が俄然楽しみになってきた。

で『青空娘』も観たんだが、ルイス・ブニュエルとかの系譜とか思ったのは、やはり谷崎原作「卍」だったからのようだ。それぞれテイストは違う。
「青空娘」というだけあって若尾文子がポジティブで元気いっぱいの娘役を演じる。凄く魅力的。
やはりこの作品も絵創りの見事さは半端なく小気味好い脚本の良さと相まって「卍」とは感触は違うものの見事な感動作だった。

増村保造。
理想的な「映画」を創る人。
遅ればせながら、黒澤明、北野武、小津安二郎、溝口健二などと並ぶ日本の宝だと確信。