「モードの帝王」と呼ばれた比類なき天賦の才を授かったイヴ・サンローラン。そんな彼の伝記ドラマ。
ドキュメンタリー→ドラマという順で観たのがよかった。ドキュメンタリーで事実を把握した上で、鑑賞できたことによって言葉には表れない演技の深みや、心情を感じることができた。
そしてピエール・ニネの快演。見事だった。他のデザイナーに比べて正に「孤高の天才」という言葉がふさわしいイヴ・サンローラン。その反面、内気で孤独で不安を感じやすく、繊細で壊れやすいガラスのハートの持ち主。そんな彼の複雑な内面をピエール・ニネがとても上手に体現していた。何でも毎日iPodで4時間実際のサンローランの声を聴いたとか。
そしてイヴにとってかけがえのない存在であった恋人のピエール。例えイヴが兵役のせいで神経衰弱し、躁うつ病になったとしても、プレッシャーから逃げるように酒やドラッグに溺れても彼を支え続けたその愛は素晴らしいと思う。やはりドラマ化されたことによって伝わってくるものが違った。
あとは何といっても衣装が美しい過ぎる。それもそのはず、イヴ・サンローラン財団所有の衣装が実際に貸し出されて使われているのだから素晴らしくない訳がない。本物のエレガンスを目撃した。
音楽もセンスがいいし、ラストにコレクションのシーンを持ってくるのはズルいでしょ。