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ジャージー・ボーイズの4のレビュー・感想・評価

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)
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キャメラ目線で観客に向かって話しかける形式によって語りの存在が厳密に示されることで、むしろ語らない存在、語られない存在が浮かび上がる。
物語=歴史から抜け落ちた人々に対して、イーストウッドは常に意識的である。表舞台に立ち続けてきたイーストウッドの映画が誰よりも先鋭的なのは、そうした歴史意識からきている。そして、それは同時に映画が極めて政治的なものだということもはっきりさせる。
「政治への無関心」という言葉を聞くことがあるが、そのような言葉を使う人のほとんどが政治が目の前に表れていることを見逃している。政治に関心を持とうとせずとも、嫌でも言動に政治は表れてしまうものであり、それが政治だ。
もしこの時代にあって未だに「政治=国家」という政治認識を抱いている人がいれば、今すぐに改めていただきたい。
「政治とは、対立を処する技術のことである」
まずは、この政治認識から政治を捉え直してみてはどうだろうか。政治意識ではなく、政治認識を変えることは、また「政治への無関心」という言葉を死語にすることで解決に導くだろう。他者とともに生きる人にとって政治に無関心など不可能なのだから。
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