このレビューはネタバレを含みます
"凡庸さは心のカビよ。"
仕掛け絵本のような始まり方。
10歳のT.S.スピヴェットによるモンテナからワシントンまでの1人旅。
大陸の横移動だとこんなにも風景が異なるのかと、ロードムービー的な楽しみ方もある。
"人々が科学に対して異議を唱え
"知"が闇に戻ろうとする時"
というレナード・サリヴァン博士の表現に胸をつかれた。
人々の生活と未来を照らす科学は光。
その光をも飲み込む"無限なもの"の1つとして、アインシュタインが"人間の愚かさ"を挙げているというエピソードがまた虚しい。
"水滴がすばらしいのは、
最も抵抗の少ない経路を辿ること。
人間はまったくもってその逆だ。"
回り道にこそ人生の醍醐味はある。
マツの木に気付き、兄となったT.Sの今後の人生に、沢山の愛すべき無駄があることを願って。