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インヒアレント・ヴァイスのmezashiのレビュー・感想・評価

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)
4.3
芸術表現に対する「難しくて分からない」という感想を目にすると、「本当にそうだろうか?」と思う。考え方や生き方が、自分自身のそれや期待と違うから受け入れられないことを、難しいと言っているのではないか。「そのまんま受け止めればよいのではないか」と、偉そうなことを思う私も、ピンチョンは難しい。難しいというか、知らない固有名詞やジョークのせいで、全くページが進まない。ただ、我慢して読み進めると、歴史に潜む謎だとか、土地に刻まれた陰謀だとか、霧の中にぼんやりとストーリーが浮かび上がってくる。そしていつも、あれ?すごく遠くまで来たはずなのに、またいつもの場所にいる、みたいな気持ちで読み終える。そして、何だかとんでもないものを読んでしまった、って思う。同じ感じをこの映画でも味わえた。恐るべきことだ。

公開直後に観た時は仕事で疲れて寝てしまったのに、今回は引き込まれた。でも、寝てしまった頃の若い自分に戻りたい。「全ての物事には必ず終わりがある」
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