インヒアレント・ヴァイスの作品情報・感想・評価

「インヒアレント・ヴァイス」に投稿された感想・評価

『インヒアレント・ヴァイス』

DVDで観ました。
もう難解といわれるトマス・ピンチョンの原作の初映画化。
調べたら結構新しい小説なんですね。2009年刊行ということで。
しかもこれを映画にするのが、寡作で難解な作品が多い、天才・ポール・トーマス・アンダーソン。

はっきりいいます。
わからないシーンがたくさんある。
70年代アメリカン・カルチャーに詳しかったらもう少し読み解けるのでしょうか? おそらく小説の地の文をナレーションにしてしまうというポール・トーマス・アンダーソンでもこうするしかなかったのかな???と勘ぐってしまうほど情報量が多い。あと、全編にわたってドラッグが出てくるのでクラクラします。

でも、ところどころのカットはやっぱりめちゃくちゃかっこいい。
「INHERENT VICE」とネオンライトでバンってでるOPと長回しはめちゃくちゃあがるし、ホアキン・フェニックスの活躍ぶりも楽しい。

強烈に印象に残るのはジョシュ・ブローリン。サノスにケーブルに、今度日本で公開の「オンリー・ザ・ブレイブ」に、アメリカで今度公開される「ボーダーライン」の続編に・・・とコワモテ俳優のトップを走るキレキレの演技に脱帽。チョコアイスのエロい食べ方や、「キイチロウ、ドウゾ。モットパンケイク! モットパンケイク! ハイ、ハイ、ハイ」は爆笑でした。後ろでは坂本九の「上を向いて歩こう」が流れているし。

吹き替え版でもう1回観て、またあの世界に没入してみたいです。
今はまだわからないこと多すぎるからこのスコアで。
「ピンチョンくらいになると、あーピンチョン?挑戦したけど挫折したな。てゆう位が丁度いい。無理に読んで語っちゃう方が読書家ぶりたくて必死感がでちゃう。一度手に取ったアリバイさえあれば充分!」
(『バーナード嬢曰く。』より)

トマス・ピンチョンの小説を映画化したと言うだけでもうポール・T・アンダーソン監督は凄い。

ロバート・ウィルソンの『イルミナティ』やWSバロウズの『カットアップ三部作』
ベトナム戦争下、ヒッピー文化の末期、閉塞的なアメリカ社会、フリーメイソンや薔薇十字団など秘密結社と陰謀論。

60~70年代のアメリカ近過去(フィクションとしての近未来と同義)を舞台にドラッグとポップカルチャーとフィルム・ノワール、言及されるナチス残党やチャールズ・マンソンのカルト、犯罪結社「黄金の牙」等々バロウズの小説やピンチョンの『重力の虹』にも登場する「何処の国家にも属さない空白地帯」又は異次元空間(?)「インターゾーン(又は単にゾーン)」が存在し、そこで様々な陰謀や世界征服計画が進行している。

探偵ドッグと刑事ビックフットの擬似バディもので、行方不明の大富豪を探すオーソドックスな探偵もののストーリーながら起承転結があるちゃんとしたお話しではなく、行方不明者捜索はあくまでもマクガフィンで、愛国ファシスト組織・FBI・KKK・黒人武装組織・カルト・秘密結社・反政府主義者・ナチス・共産主義国etc.....数々の陰謀や秘密作戦が同時進行中でドックはその間の氷山の一角に時々関わったり巻き込まれたりするだけで全体像が明らかになる事はない。
弁護士ソンチョの存在も語る事も、黄金の牙やバミューダトライアングルやら何か重要に聞こえても殆ど意味無い。
更にそこにドックのマリファナ中毒が加わり現実と幻想が入り交じる。

なので最後に何かが終わったり解決する事もない。

こういう話しは小説としては成立しても映像として見せるのは極めて難しいと思うので殆ど映画化される事がないのだと思いますがPTA監督が見事に映画化してみせたので、バロウズの小説をクローネンバーグ監督の『裸のランチ』的なやり方でなくカットアップ・フォールドインの実験的小説の文体そのままで誰か映像化して欲しいです。
サ

サの感想・評価

5.0
本当に意味がわからない、つまり最高な映画。ブコウスキーの小説を映像化したらこうなると思う。精神安定剤をのんでふわ〜となりながら見たら今はスッキリした気分
タイトルと、映画始まってからのタイトルの出し方が良かった。いまやサノス役、ケーブル役でアメコミイメージがついたジョシュ・ブローリンが奥さんの尻に敷かれた警官で大麻をモリモリ食う。「motto pancake wo!!!」と言えてない日本語をしゃべる。あのアジアン娘の娼館、内装がいいデザインだった。ホアキンフェニックスはもみあげがすごい
PTA予習。ということでf●●kやらfu●●nやらスラング飛び交う怒号の果てに行き先をなくして宙吊りにされちまい空中分解。ホアキンフェニックスに原作はピンチョン、スコアがジョニーときたもんだからそりゃ心配もするよ。天ぷらに焼肉に、すき焼きに、寿司を一度にごった煮して無理矢理口に運ばれるようなものだからさ。

もともと『ヴァインランド』を映画化するつもりだったがこちらは断念。方向性として似た『LAヴァイス』が写実化された。つまり、ドラッグ漬けのサーフー系ヒッピーが主人公であり、失われた女性を去りゆく時代のノスタルジーに重ね合わせている。

長回しから転調したカットにあと残りして音楽が聴こえてくるってクールだね。とくにOPのタイトルロゴとCANの組み合わせとか最高にグルービーかよ。ナレーションの声も可愛くて癒される。ホアキンもなんか癒し系だし。PTA作品でも最高に笑える。『ロンググッドバイ』を下敷きにズラしまくる名探偵のコード。『パンチドランクラブ』以前の彼の作風、権力との対構図が組み込まれているという意味では前二作品を踏襲してるけど。原作について『緻密な、すばらしく熟考された物事が、想像しうる中でも最高にくだらないジョークの中で混ざり合っている』ピッタリだね

(ゴジラも坂本九もでてきます。念のため)
一抹

一抹の感想・評価

3.7
主人公が常にラリってるから話の筋に整合性も何もない 物語として消化しようとすると絶対消化不良になるから雰囲気で楽しんだ方がいい ジョニー・グリーンウッドが音楽やってるだけあって全体的に陰鬱 ポスターのようなネオン感はあまりない やたら長いセリフと主人公のなめた態度は結構良かった あとドクとビッグフットの愛憎じみた関係も良い
K2

K2の感想・評価

4.0
これはなかなかグルーヴィー。

もう3回くらい観たい気はするけど長くてまた観るまでめちゃくちゃ時間かかりそう。
顔も映ってない脇役までがわりと顔の知れてる役者だったり贅沢なキャスティング。70、80年代の探偵モノTV番組の雰囲気が出ていてよかった。
desperadoi

desperadoiの感想・評価

3.5
謎が謎を呼んではどんどん話が膨らみ、思わぬ所で繋がってみてはまた遠のいてしまう。結局事件を解決できたのかはよく分からないが、まぁいいや。そんな『ビッグ・リボウスキ』に輪を掛けたゆるさを味わえる摩訶不思議なハードボイルドムービー。
ピンチョンの原作に手を出す勇気はまだないので、映像化不可能とまで言われた作品をPTAがどのように脚本に落とし込んだのか知るために『映画原作派のためのアダプテーション入門』を読むつもり。
インヒアレント・ヴァイスは内在している避けられないリスクのことを言うそうです。この作品でもいくつかの内在しているリスクが出てきます。
特にアメリカ社会の中にあるリスクが印象的でした。ヒッピーやドラッグなんかが出てきます。

主人公がドラッグやり過ぎてて、何が起こっているのかなかなか理解できませんでした。人物探しをしているのかと思えば、すぐに関係なくなってしまい。依頼人もいなくなったかと思えば、ひょっこりと出てくるし…
また、解説なんかを見ながら出直します(笑)
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