インヒアレント・ヴァイスの作品情報・感想・評価

「インヒアレント・ヴァイス」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます


元カノシャスタの再訪を皮切りに、様々なハプニングに巻き込まれていく私立探偵のドック。失踪したシャスタとその愛人ミッキーの行方を追う中、次々とわき出る謎や発生する事件、それらが次第に明らかになり、最後には、、


相関図も書いてしっかりと観て(二夜連続で)理解したはずなのに、、
“黄金の牙”に絡む事件も解決、シャスタもミッキーも無事(シャスタにいたっては、よりを戻したわけではないと言いながらもドックの元に戻ってきたし)、死んだとされていたはずのコニーも家族の元に戻れて、めでたしめでたし。なんだけど、なんだろう、、映画を追っていくと点と点がつながって、どんどん明らかになっていくことがあって、それはとっても気持ちのいいものなんだけど、映画の中で印象的だった霧の中にいるような、マリファナの煙が焚かれている時のような、“ぼんやりとした何か”の中にいる感覚が最後まで抜けない、ってゆう不思議な映画だなあという印象。手のひらで作った小さな雪の玉が、ゴロゴロと雪山の中を転がってって、気付いたら想像もしてなかった程に大きな塊になっていくみたいな、いつの間にやら大きな問題が絡んだところにたどり着いてしまったドック。みんなみんな、“インヒアレントヴァイス(避けられない危険)”に常に付きまとわれていたなあ、、。いやあ、しかし権力や巨万の富を持った人間や、情報をも操作出来てしまう国家ってのは怖いなあ~~
この軽妙で眩暈のする雰囲気はこの監督にしか出せない技ですよね。画面が飄々としてる、というか。

全編に渡って情報量の嵐な私立探偵モノ。そう聞くと「なんか巧妙な推理が繰り広げられるんだろうな」と思う人が多いと思うんだけど、そんなことはないです。主人公は僕ら観客よろしく、膨大な情報に振り回されるのみだ。
そして情報量に反して事件の全貌が明らかになることはない。元カノの依頼に奔走する主人公は、捜査すればするほど深みにハマっていき、お話が何かデカくなっていき、デカくなりすぎて収集がつかなくなり、情報量が多い割に分からないことだらけのまま終わるのです。アメリカを暗躍する組織の存在が見え隠れして、おしまい。

ストーリーを楽しむっていうより、この雰囲気を楽しむんでいいと思う。主人公がずっと(本当にずっと)ハッパ吸ってるからどことなくトレインスポッティングを彷彿とさせる。捜査もフワフワしてるし主人公もそんなんだから画面がずっとハイ。酩酊感とも陶酔感ともいえる独特な雰囲気が素敵っす。
そして謎のセンスがいいね。寿司屋の職人みたいなのがパンケーキ出してる店はなんなの。ところどころハハ、って笑いながら観るお洒落な映画っすね。モジャモジャしてるけどセクシーなホアキンが最高。相変わらずバチッと決まってるPTAらしい画面も最高。それでいて明らかに寄りの画面が多くて70sな映画っぽくなってるのも最高。この監督のセンスはマジで底なし。
nattyan9

nattyan9の感想・評価

3.0
★★★ 『インヒアレント・ヴァイス』
 
んー、難しいなぁ。
何でかと思ったら、
何も展開してないからか・・・
主人公と恋人にとって。
(まー、意図的だから、いいけど)
でも、
主人公と登場人物が面白いから、
見ちゃうなぁ。
 
なんかでも、
監督が影響を受けた
「ロング・グッドバイ」と比べると、
ハードボイルドな主人公のキャラ
設定じゃないので、
ちょっと好みではないなぁ。
これは、これで好きだけど。
 
あと、
ラリってる探偵、ってのがなぁ・・・
感情移入しにくい。
なんか、何でもありだなぁと思って。
シラフで、ぶっ飛んでる
キャラの方が、
リアリティがあるっていうか。 
 
色々あるけど、 
一番好きなシーンは、
目が覚めたら、
横に死体があって、
しかも、視界一杯に
警官に取り囲まれてるシーン。
いきなりだから、
抜き差しならない感が
凄かった。
 
にしても、
下ネタ多過ぎw
いいけどw
この物語の中にあるもの全てがLAに内在する欠陥だと思う。
ヤク中やら汚い不動産王やらリアルにLAに存在するシリアスな要素のオンパレードなのに全くシリアスに感じないどころか
陽気で明るく誰もが誰かに愛されている感じがする。ラブ&ピース。
探偵が主人公だし探偵映画(ミステリ)だと思うけどそれは外面だけの話で、探偵の中身はヒッピーで映画の中身もヒッピーだ。
PTA映画を見ているとこの人は映画をジャンルで分けられるのが嫌いな人なのだなあと思う。
りんや

りんやの感想・評価

3.0
情報量が多くて1回じゃ堪能できなかった感、約2時間半の長尺に集中力も持たなかった。いつか見直したい。

70年代カリフォルニアのヒッピーカルチャーな雰囲気すごい良い。

アンダーザシルバーレイクの引き合いによく出されてたのも納得、
藍沢悟

藍沢悟の感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

全体に漂うシュールさが地味にツボで、面白かった。
登場人物たちのめくるめく物語と、張り巡らされた伏線の数々。
初見では拾いきれない所が多くて混乱した。
2回目観たらもっとハマるかもしれない。

主演のホアキン・フェニックスは『ザ・マスター』のイメージが強すぎて(しかし『ザ・マスター』は未見)コミカルな演技をしている姿は想像できなかったのだが、コミカルな演技が想像以上に上手くて、ずっと笑っていた。
作中でホアキン・フェニックスとベニシオ・デル・トロが海を眺めながら歩くシーンが最高すぎて、とても好き。

この映画の多くのシーンが美しくて良かった。
最高としか言えないカットが死ぬほどあって満足感が凄まじい。
ドックとシャスタがヤク欲しさにコックリさんもどきをやって、ヤクの売り場を探しに雨の中裸足で探し回るシーンが大好き。
あそこの愛おしさ半端ない。

ドックとシェスタの、痛々しいセックスシーンが無ければベスト10には入れたいくらい、だらだら観てふふふって笑いたい映画だった。
全然嫌いじゃない。
aoi

aoiの感想・評価

4.0
おっもしろ!なんだこのモミアゲ探偵…かっこいいな?!

インヒアレント・ヴァイス=内在する欠陥

海上保険用語で、積荷の破損など避けられない危険のことを指すそう。
どれだけ注意しても、ミスや事故は起こるし、壊れるものは壊れてしまう。人間関係、信頼、生活も然り。
この映画でのインヒアレント・ヴァイスは何だったのだろう。愛とそれに伴う思い出かなぁ。
愛着や思い出は、完璧さや美しさを保ったまま生きていく事はできないですよってことかな。時間を進めるとはこういう事だ、と。
それとも、自分にとっては座席に持ちこむ貴重品でも、今は壊れても仕方ない積荷のように粗雑に扱われている事へ対するモヤモヤ感みたいなもの?

ヒッピーカルチャーのビジュアル・音楽どれもセンスよく、ストーリーも渋めで面白かった!
冒頭の「最近氾濫している〝愛〟という言葉には、暗黙の注釈がついている」というセリフがお気に入り。
…と直感でとても楽しめたのだけれど、とても難解とのレビューが多くて驚き。
難解に感じなかったって事は、多分ちゃんと内容が頭に入ってないってことだな笑
再視聴が必要。

# 262/2018
田上

田上の感想・評価

3.8
群像劇の作品を結構撮ってるポールトーマスアンダーソン監督。
なんか…タランティーノに寄った?
そんな印象。
あんまり考えずに雰囲気を楽しむ感じのなんかいつもよりライトだったと思う。

コミカルな要素強い!
キャラクターの印象も強い!
毎度ポールトーマスアンダーソンの書く登場人物たちはおもしろい。
見た目も、発するセリフも独特〜。
わぁ〜って思っちゃう。
こういう登場人物たちを書いて、撮ってるポールトーマスアンダーソン監督のセンスが好きです。

キャサリン・ウォーターストーンがとても印象的!
ホントはこんなに美人だったのか!と驚いた。
退屈しなかったのは間違いなく彼女の演じる"シャスタ"の存在があったから。この物語の核だったね。
おみそれしまし…たッ‼
aaaaa

aaaaaの感想・評価

4.3
ポール・トーマス・アンダーソン監督、
ホアキン・フェニックス、ジョシュ・ブローリン主演、シュールなノワールコメディ。

60年代カリフォルニア。冴えない探偵ドック・スポーテッロ。FBI ロサンゼルス市警 ビバリーヒルズの歯医者 黄金の牙と呼ばれる謎の組織など、予測不可能な巨大な陰謀に、巻き込まれていくと言った物語。

もちろん、劇場に見に行きました!
PTAの作品の中でも、ギャグてんこ盛りの作品で、劇場は結構盛り上がってましたね。もはやコントの連続みたいな感じ。

現代のアメリカ文学で、最も難解な作家と言われている、トマス・ピンチョンの作品らしく、登場人物が多くて、なかなか難しい内容なので、何回か見ないと分からないかも。
エピソードが、とにかくカオスで不連続的な物語。何となくラストもモヤモヤした終わり方なので、段々何の映画だったのかよく分からなくなるかも。笑

マ○○○ナを、ボリボリ食べ出すジョシュ・ブローリン! フェ○してる様にアイスを食べる、ジョシュ・ブローリン! とジョシュ・ブローリンが結構キテます。笑

ホアキンも渋くてカッコいい探偵なのに、警官に吹っ飛ばされたり、バキバキのジャンキーだったり、女の子のお尻をスパンキングしたりと、冴えない探偵役に入り込んで結構飛ばしてますね。笑

そしてキャストが豪華! リース・ウェザースプーン、オーウェン・ウィルソン、ベニチオ・デル・トロまで登場!
少ない出番ながらも、さすがの存在感!
これもPTA監督の人脈なんですかね。
登場人物ほぼ全員ジャンキーです。笑

トマス・ピンチョンの作品は、本当に難しい作品が多いんですが、今度原作にも是非トライしてみたいと思います。

そして、今作最大の昇天ポイントは坂本九の「上を向いて歩こう」が流れるカフェで、「ケニチロー!! モット! モット! パンケーキ!!」で間違いなくガンギマリになれます。笑
リンチ的なストレンジな作品が、好きな方には是非オススメしたい一作!
PTAのロバート・アルトマン崇拝は有名なので、本作が「ロング・クッドバイ」の影響下にあるのは間違いないと思うけれど、自分の感触としてはシェーン・ブラックのノワールもの「ナイスガイズ」「キスキス、バンバン」に近い印象を受けた。

どの作品にも共通するのが、「そもそも主人公は当初何を解決しようとしていたのだろう?」と鑑賞後に振り返ってもイマイチ分からないにも関わらず非常に映画として面白いということ。

ただシェーン・ブラックの両作品が男性の探偵コンビ+ヒロインのトリオがキャラクター面の魅力の大半を担っていたのに対して、本作は脇役まで非常に個性的かつ配役も豪華。

ラストはストーリーとは裏腹にどこかヒッピー文化の衰退・終焉を予感させる哀しさもある。その絶滅危惧種の生き残りが「ビッグ・リボウスキ」へと繋がっていくと想像するとちょっと面白い。
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