ハッサン

インヒアレント・ヴァイスのハッサンのレビュー・感想・評価

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)
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こういう映画を観るときふつう私たちは事件の謎を解き明かすために「この登場人物はこういう人間だ!」「次はこういうことが起こるはずだ!」「さっきの伏線はこの出来事に繋がっている!」といった予測を無意識にたてることによって物語の筋を組み立てていくものだと思う。しかしこの映画ではそういった平凡な想定は「全て」裏切られるのでまじで意味分からんって感じで途方もない混乱状態に陥ることになった。(見終わったあとで分かったことは「元カノが頼ってきたからなんとかしてやりたい」ということだけだったので自分は相当頭が悪いのではないかと落ち込んだ。)でもそんな脳内カオス状態のなかで観た「ウィジャ占いの雨の日」「キモい警官とパンケーキ」「オーウェン・ウィルソンの珍妙な存在感加減」などは不思議に心に残って、何度でも思い出したくなる。そういえば現実の人生でもいつまでも自分の記憶に残っているのは流暢に人に語れるようなストーリーよりもむしろそういった散漫な印象であることのほうが多いかもしれない。解説サイトを見て事件の相関関係を理解するよりも、どのシーンが印象に残ったかを人と語り合いたいと思った。