公開館数が少ないので少し遠出して観てきた。
法廷サスペンスであり父子の葛藤もので上映時間2時間超という点で、「あぁちょっと重そうだな~、寒い中出掛けてって観るもんでもないなぁ、近くでやってないし」と二の足を踏んでる人は多いと思う。
でもこれ、普通に面白かったですよ。観に行って良かった。すごくオーソドックスな作品です。オーソドックスだけど全然退屈しなかった。
もっと大きく公開していいと思うなぁ。
お話の設定からすると重いムードになりがちなんだけど、ロバート・ダウニー・Jr.(以下ダウニー)が主演なのでいい意味で軽くなるんですよね。華やかになるというか。泥臭くなりすぎないというか。それがこの作品ならプラスに働いてると思う。
人生の酸いも甘いも経験して苦味だけが顔から出ているようなロバート・デュヴァルがダウニーの父親。この父子の衝突が見応えあるので、これだけでも木戸賃分の元は取れると思う。
ずっといがみ合いしてるわけではなく、距離が縮まったり離れたり。しらばっくれてるのかホントにボケたのかってあたり『ネブラスカ』のブルース・ダーンを思い出した。
(是枝裕和監督の傑作『歩いても 歩いても』あたりも頭に浮かんだ。あ、どっちも父と次男の話だ)
でも、2時間超えのこの作品を飽きずに見られたのは、この父子以外でも人間くさい人達が出てきた事がでかいと思う。
自分のキャパオーバーな事案が溜まりでちょっと疲れてきた長男、だいぶ熟してきたがまだ現役感ありそうな地元の元カノ(ヴェラ・ファーミガ様がもうなんかムンムン)、法廷で対決する検事(対決後の表情が素晴らしい!)などなど。
もちろんこうした他の要素を盛り込み過ぎという声もあるけど、これは全然アリだと思うなぁ。その人間模様が面白かったし。
人間くさいといえば、ホントにクサい場面もいくつかあったりして、そういうところも良かったなぁ。
あの風呂場のシーンはけっこうギョッとした。この間観た『0.5ミリ』でもあそこまで踏み込まなかった。
まぁはっきりいって、冒頭はちょっとダサいなぁとは思ったし、音楽もこれ見よがしだなぁというところもあるけど、ダウニーが地元に戻ってからは何だかんだ引き込まれたし、結末の少し苦い着地もあってなかなか好きな映画になりました。
ロバート・ダウニー・Jr.が、ヒーロー役引退後は奥さんと「小さな作品」を作っていきたい、と考えてるそうだけど、チーム・ダウニーの一作目なかなか良かったですよ。
トニー・スタークもいいけどこういうのもっと見たい。がんばれチーム・ダウニー!