ヘソの曲り角

楽園の瑕 終極版のヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

楽園の瑕 終極版(2008年製作の映画)
4.2
これから他の作品も見直すけど、なんとなくウォン・カーウァイの最高傑作な気がする。前半だけテンポ悪いし話見えてこないしで大変だがそこを乗り切ったらどんどん面白くなる。画のキレ、特に色調が途中から見違えて良くなる。概要から想像してた絵面をちゃんと見せてくれる。(ウォン・カーウァイにしては)脚本自体が良い。オムニバス形式で、キツかった最初のエピソードも活きてくる。内容が内容なので香港映画感は薄め。

物語の視点はほぼレスリー・チャンで、彼のもとに現れる人物たちが何かしらで前後につながりを持っていき、最終的には円環(適切な言葉が見つからないけど一応円環、としておく)のようになっていく。時系列を整理すれば全員の顛末は分かるが、演出の妙によって時間の遠近感が曖昧になる。過去のことが現在のことのように浮かび上がり、明示された未来のことは過去のことのように思われるのである。記憶の物語。