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フランシス・ハのasayowaiのレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
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女性が女性に対してかわいいという感覚が少しわかるような気になる映画。類型化を極力させてキャラクターを作り上げていくと一本の映画になるという好例ともいえる。
テーマとしては『ヤング≠アダルト』と共通する部分もあるけど、ドラマの作り方としては対照的。主人公の強烈なルサンチマンを増幅させる感情の足し算が『ヤング≠アダルト』の作劇手法だとすれば、本作のフランシスには常に何かが「不足」がしている。お金や時間、家そして才能。物語としてはこの不足を満たす方向にいかず、むしろ後退するベクトルに向かうのが面白い。後退することでついに彼女は自らの不足を許容する。その時、奇妙なタイトルの意味を知ることができる。
カメラと被写体の距離感が巧妙なので、大人への成長の物語として受容するより、あくまでフランシスという平凡だが愛らしい女性の物語としての印象が強い。
正直「汚れた血」のオマージュとか、undateable=恋愛対象外、非モテいじりとかのサブカルノリにしらけたりもしたんだけど、なんか憎めないフランシスそのもののような映画だった。
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