トランスフォーマー一作目あたりでCGが実写と区別がつかなくなってきてやばいなと思ってたら、猿の惑星ライジングで猿の毛の表現とか単純にCGによる描写の物量がすごいことになってて完全に来るとこまで来たと思ってたけど、アントマンはそのさらに先を見せてくれた気がした。超近くで見た水とか土とか、アリ目線の世界にここまで説得力を持たすのは数年前では無理だったんじゃないかと思う。SFでCGを使う場合架空の建造物やメカに使われがちでSFに関して造詣が深い人以外そこに興味を向けづらかったと思うんだけど、アントマンでは蛇口から流れる水だとか絨毯の毛先だとか身近なものを全力で描写していてCG技術の進歩をより多くの人が体感しやすくなっていたりしたところにエンタメとしての偉大さを感じた。
映画の内容も主人公が小さくなれるギミックを最大限に生かしていて、劇中にさりげなく出てきていた様々な小物が伏線になっていたり、アントマンでしか起こりえない状況が大量に出てきてオリジナリティに富んでいた。CGを多用する映画が陥りがちな「迫力はあるけどなんか味気ないアクション」になっていなくて終始楽しめたのが良かった。ストーリーも大味な感じこそすれ人物描写が丁寧で、娘想いな主人公のひたむきな頑張りに心打たれる。敵が怖くない事が多いマーベル映画だけど、今回の敵はしっかり話のスケールに合った怖さを持っていた。
最後の戦闘シーンはそのハチャメチャ具合にジュマンジとかゴーストバスターズとかトイストーリーを小さい時観た時と同じワクワクがあってとても気に入った。