森

ウォーリアーの森のネタバレレビュー・内容・結末

ウォーリアー(2011年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

昔から観たい映画だったけど、劇場公開はおろか、なかなかソフトかもされなくて、やっとソフトかされた時にはあんまり興味がなくなってて、でもついにレンタルして観た。最高に良かった。

てっきりロッキー的なスポ根映画かと思ってたら、なかなかのヒューマンものだった。アル中暴力親父のせいで、それぞれバラバラに暮らす羽目になった兄弟が、総合格闘技をきっかけに相見える設定ということで、主役が二人。そのぶん、少しそれぞれの物語が薄くなってしまった感がある。兄弟どちらの物語ももっと突っ込んで深く描いて欲しかったが、映画の常識的な時間ではこれが限界かもしれない。言うなら、これでも物足りず、もっと見たいと思うくらい良かったということ。

過去の自分を悔やみ、立ち直ろうとする親父を演じるニック・ノルティがまたたまらなくいい。息子兄弟どちらからも親子としてのマトモな関係を持つことを許してもらえず、ろくに相手もされないがそれでもしつこく接触を試みる親父の姿は凄く鬱陶しくもあり、哀れでもあり、美しくもある。ほとんど無視されてるのに、それでも「頑張れよ」と何度も声をかける空気の読めない愛情に苦笑と涙を誘う。

ラストの試合の結末は出来過ぎだと思わなくもないけれど、いい映画過ぎてそれくらい大目に見ざるをえない。

ひとつだけ気に入らないのは、兄のトレーナーが練習にベートーベンを使うというアホみたいな設定だ。実際にそういう変わったトレーナーもいるだろうが、なんか痛い人なのかなぁとか思ってしまってそこだけサメた。
森