2014年の劇場公開時にも観たのだが、思い返せば、娘が年の離れた彼氏を両親に紹介しようとするくだりなど、その年の秋に上演された三谷幸喜作・演出の舞台『君となら（再々演版）』の前哨戦という感じもしてくる。
100分のワンシーン・ワンカット撮影をほぼ出ずっぱりで演じきった竹内結子の女優としての地力とコメディエンヌとしての瞬発力・対応力は、三谷の言うとおり、二十年後には大竹しのぶクラスの女優になっていたはず。
本作や初舞台『君となら』での経験は、のちの大河『真田丸』にも活かされていたし、「コンフィデンスマンＪＰ 」だけでなく、『ミス・シャーロック／Miss Sherlock』だって、蓄積されたコメディセンスに裏打ちされたキャラクターを演じ、魅了してくれた。
もちろん、演技者としての充実が彼女のすべてではないし、完全無欠の人生なんてない。それでも、突如断ち切られてしまった彼女の輝かしい女優稼業が惜しまれてならない。
イモトアヤコや長澤まさみもふくめて、彼女に繋がる人たちが、この試練を乗り越えてくれることを切に願う。
