若い頃、大人になったら内田裕也の良さがわかるかもしれないと思っていたが、いい大人になった今も内田裕也の良さはよくはわからない。歌手としてヒット曲があるわけではないし、俳優として地下鉄の駅員を演じても警察官を演じても芸能レポーターを演じても何も変わらないというか、内田裕也は内田裕也のままである。ただ、内田裕也と言えばやはりフラワー・トラヴェリン・バンドをプロデュースしたことが音楽史上の最大の功績だと思うのだが、この映画を観てわかったのは、内田裕也はプロデューサー能力に長けているということである。実際、この映画も彼が企画を持ち込んだということだが、喧嘩っぱやくて女たらしで不道徳なロックン・ローラーをセルフプロデュース出来ていると思った。