Akiyoshi

リトル・フォレスト 夏・秋のAkiyoshiのレビュー・感想・評価

4.8
好きな映画だ。
しかし、今まで誰にもオススメしたことがない。私にとってはおもしろい映画だが……これは色んな意味でオススメできない。笑


季節が変わり、年齢を重ねて知っていくこと。気づかなかったことが知られていく。1人でやってみたら大変だったことも、手間をかけてないと勝手に思っていた親の苦労も、大人になってうるさい都会から静かな田舎へと移ってみる。そうすると気づくことが多い。そこで人の温かみを感じる。日本の心ってそんな温かみが根底にあると思う。決して東京の人が冷たい、とかそういうことを言いたいわけではない。騒がしい場所から普段自分が落ち着ける空間に移動すると、そこはほぼ間違いなく静かな場所だろう。そんな場所に久しぶりに帰ってきたとき、何だか温かみを感じることはないだろうか。静かな場所では愛情や安心感を感じやすいと思う。そんな場所で過ごすことが社会から離れて清々しさを感じる。本作品は静かな映画であるが愛情や安心感、そして温かみを感じられる映画である。とても落ち着ける。清々しさも感じる。

私の最も好きな女優が橋本愛だ。
本作がきっかけで彼女に惚れた。
ナレーションのように語る彼女の声が静かな田舎と重なる。汗だくなのに綺麗で、表情が変わる。男っぽくもある。けれど内面は繊細。そんな演技はとても素敵だ。

食べる。食べなきゃ生きれない。
生き物を殺し、加工し流通させる。
食べ物を流す人たちが「殺す」という現場を知らずに、食べ物を語る。よく考えてみると、そんな人たちには説得力がないんじゃないかと思う。直接的に生き物を殺す人たちの経験の重さを知ること。そうして食べるという行為と美味しさを得ることができるのではないかと感じさせられた。自然は重たいのだ。私のストレス解消の方法の1つは、食べることである。身体的にも精神的にも「食」が支えていることに気づくのは、本作品のおかげだった。
暑くてじめじめして虫が多い夏。嫌いだった季節がちょっとばかり好きになったのも本作品を観たおかげである。
Akiyoshi

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