トメさん

リトル・フォレスト 冬・春のトメさんのレビュー・感想・評価

3.9
四季それぞれの日常。寒い、暑い、ジトジト、カラカラ。日本人は、それを様々な形で対応してきた。でも、それは、単純に対応してきたわけではなく、それを通して四季を感じ、日常を感じ、生きることを感じ、自分を感じてきた。四季と自然と食のすべてに日本人は寄りかかって生きてた。

それが、今では、寒いから嫌、暑いから嫌、ジトジトするから嫌、カラカラする嫌。寄り添ってきた四季、自然を疎み、避けるようになった。日本人はこれまで、四季を呼吸するように感じてきた。それがなくなって、息苦しくなっている。昔が良かった、今が良かったとかということを言おうとしているのではない。ただ、息苦しいときには、たまには、ちょっとでも呼吸をしてみよう。深呼吸をじゃなくてもいい。ジトジト、暑い、この季節に寄りかかって、思いっきり汗をかいてみるのもいいかも。


いち子は、四季を感じながら生きているように見えるのだが、それはただ対応しているだけであることに気づく。そして、四季に寄りかかれるようになっていく。そんな物語。

追記
人生は、回っている。同じことを繰り返していく。でも、それは、円じゃなくてらせん。
食べることは生きること。生きるとは何か。だから、最近、食をテーマにした作品が多いのか。だから食をテーマにした作品が自分は好きなのか。
こういう田舎ぐらしがスローライフなのではない。もともと人はこのスピードでしか生活できなかったはず。それがいまファストライフになってしまっている。
冬の寒さも調味料の一つ。いい言葉。
トメさん

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