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アマデウスのwillieのネタバレレビュー・内容・結末

アマデウス(1984年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

【ディレクターズカット版】
松本幸四郎主演の舞台に行けなかったので、せめて映画だけでも。監督はカッコーの巣の上でのミロスフォアマン。すごいよ。造形深すぎるよ…。

嫉妬するサリエリはあくまでも語り手で、主人公はアマデウス・モーツァルト。
最後までサリエリの手の中にあると気づきもしせず、(曲をバカにするシーンもあったけど)死ぬ直前に許してくれと言うモーツァルトが、かわいらしくて哀れだった。人間死ぬ時はあんな感じなのかもしれない。それにしてもモーツァルトは不遇な人生だ。思っていたより才能が認められてなかったんだな…。

サリエリは傲慢。モーツァルトを絶賛したり、自分を「凡庸なる者の守り神」と皮肉ったり。自虐のストーリーの中でしか自分が主人公になれないと思っているところ(=天才をきちんと天才と評価するところ)は、賢くもあるんだけど、そんなに蔑まなくていいんだよってポンと肩を叩きたくなる。ただその自虐が天才に対する敬意でもあったりするからめんどくさい。サリエリがモーツァルトくらい、もっとバカだったらどんなに楽しく過ごせたんだろう。

モーツァルトへの嫉妬は、やがて神への復讐心へ。凡人なら誰でも感じたことのある妙な客観性。そしていきすぎた自意識過剰性。そんなのいらないよな…。みんな捨てよう。
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