このレビューはネタバレを含みます
凡庸である私にとってはひどく苦く重い映画だった。後味も苦味が濃いように思う。
サリエリの気持ちが苦しい程に理解できる場面が多く、その都度私を重苦しい気持ちにさせる。
しかし、その画面の絢爛さと、音楽の重厚さは、その苦味を何か美しい高尚なものに昇華するのだった。
この世界に存在する大多数の凡庸なる人々。その中の一個に過ぎない私という存在。その卑小さを嘲笑うかのようなエンディングに、32年もの間その苦しみの中に居たサリエリの苦悩を想像する。美しくも胸に虚しく空いた空洞をから吹く風を思わせるエンディング。
しかし、それはとても美しいのだった。