早紀

スイートプールサイドの早紀のレビュー・感想・評価

スイートプールサイド(2014年製作の映画)
3.8
毛深くて悩む女子高校生と毛が生えなくて悩む男子高校生、真逆の悩みを持つ男女の奇妙な交流を描いた青春映画。「惡の華」で有名な押見修造さん原作の作品。

「体毛が生えない」のは思春期男子特有の悩みなのでしょうか。私は女なのでその悩みを理解するのが正直難しい。毛が生えないなんて普通に羨ましいので。でも女の子の気持ちは当然分かります。なぜ自分だけが?という気持ち。男子もきっと同じなんでしょうね。

共に水泳部だけど接点が無かった2人。でもふとしたことがきっかけでそれぞれの秘密がわかり、主人公の太田はヒロインの綾子から毛を剃ってと頼まれる。ここから2人の不思議な交流が始まります。

惡の華でも思いましたけど、押見さんって思春期特有の世界を表現するのが上手いよなあと思う。シュールで少しグロテスク。なんかリアルなんですよね。「毛深い」のも「毛が生えない」のもガチの悩み。そのお互いの秘密を共有したことでそれまでの取り巻く世界が変わって見えていって。

主人公の須賀健太君は同い年なので、子役の頃からテレビに出ていると意識していたのですが、ちゃんと演技を観たのは初めて。毛を剃っている時のドキドキ感とか思い出して悶絶しているところとか、THE男子って感じで可愛かったです笑 毛の手触りや剃るのを頭の中で木や葉っぱに例えていたのが面白かったw 「慎重に切るんだぞ慎重に…」ちょくちょく声出して笑いました。

松田翔太さんがお兄ちゃん役で少しだけ出演していて、あれこれと悩む主人公を「お前は可愛いな〜」「はいはい」っていう感じで一緒に彼の悩みに深くは入り込まずに、にこにこしていたのが今だと理解出来る。だって取るに足らない些細なことだものね笑

それに私も多少は一歩引いて物事を見れるようになったんでしょうね。もしこんな高校生の弟がいたら同じように「はいはい」って言ってにこにこ見つめてると思う。かといってちょっとこの兄貴は飄々とし過ぎですけどね笑 しかし色気あってかっこいいな、松田翔太!

どんどん綾子への思いを募らせていって暴走していく姿は不思議とキラキラしてる。高校生という多感な時期の思考、原動力、疾走感。今だけのきらめきが詰まってます。
早紀

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