NaDi

ログアウトのNaDiのネタバレレビュー・内容・結末

ログアウト(2011年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ドミニクが亡くなったと聞いたとき、シルビアはまるでこの世の終わりかのように泣きじゃくった。
散々ドミニクに自殺を勧めていたのは自分なのに。
ここに違和感を感じないだろうか。
そのシーンを少し考えてみると、suicide room(自殺部屋)と言いつつも、そこに集まっていた人々は本当に死にたいわけではなかったのだろうと感じた。
ただ、孤独でどうしょうもなく寂しい10代が、自分の仲間を見つけるために、自分の居場所を見つけるために、リアルではないネットの世界で身を寄せ合っていたに過ぎない。
だって本当に死にたいなら、そんな所集まらないで、ふらっと死んでしまうだろうから。
そこでシルビアは、リアルでは浸れない権力に少し味をしめていた節があったのではないだろうか。自分の強さを示す為に、死を恐れない様を武器にして。
しかしそんな偏った思想しか許されない小さな世界は、感化されやすい思春期の子達にはあまりに毒であった。
emoやsceneが流行った当初も、現代でも言えることだが自傷行為はファッション化されうる。
そんなファッションであった自傷行為に、人が飲み込まれて殺害されることをきっと自殺というのだろう。

追記;ドミニクが本当にゲイかと言われれば、そうではないと思う。彼がゲイだといったのは、社会に対する反発に感じる。彼を問答無用で押し込める社会や当たり前に対する反動。
そして仕事ばっかの両親や、亀裂の入った夫婦関係が織りなす家庭の寒さ。そんな中で寂しさを感じていた彼は、あえてショックを与える行動をする事によって利己的な大人達の目を必死に集めたかったんだろう。
柔道のシーンがあるからそう思えるのは無理はないけれど、シルビアに好意を寄せている時点で多分彼はバイではないかと推測してる。

この映画を「自殺」という言葉に共感して観た人がいるのであれば、覚えておいてほしい。
いつだって周りの人でも、私にでも話せばいい。
結局最後にどうしたいかを選ぶのは自分なんだから、諦める前に沢山悩んだらいい。
けれど、貴方に死なれるくらいなら、貴方を助けられるほうが断然いい。
NaDi

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