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ソロモンの偽証 後篇・裁判のmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.5
2作目。
ついに“学校内裁判”、開廷。

学校で起きた柏木卓也くんの死。
出回った告発状により、自殺ではない疑惑の蔓延。

自殺なのか、殺されたのか。

警察や学校の先生など“大人の世界”では自殺で片付けられてしまったこの騒動に悶々とした生徒達が、自分たちの学生生活に深く闇を落としたこの一件の真実を見つけ、亡くなった彼や、自分たちが次に進むためのケジメとして開かれる“学校内裁判”。

前編では、その裁判までのいきさつや生徒達、学校サイド、その周辺の様々な状況の有象無象の蠢くモノが蠢き、この一件がザワつき、多くの人の心に暗い影を落とした。

この様相が、サスペンスからホラーに近いモヤモヤ、ドロドロとした何かが湧き出てくるような何とも言えない不快感、おどろおどろしさが何とも言えなかった。

後編はその誰にも何とも言えない至る所での不穏な空気がついに表に出てくる。

この検事側の主人公の女の子と、柏木卓也の中学時代の友人という神原くん、この2人がこの一件を中学生ながらに一心不乱に突き詰める姿勢。

誰かを責めたいわけでもなく、とにかく何かがしっくりこないこのモヤモヤを、多くの辛い出来事の上で起きたこの一連の出来事がついに、“学校内裁判”で1つの結論に至る。

なかなか中学生が起こす騒動とは思えない重厚で悲壮的な物語。宮部みゆき、恐るべし。

結構、待ったなしで残酷だったりする。
それでもそれを受け入れるために自分たちで挑んだ“学校内裁判”の行く末。最後の最後で意外な展開もある。

清水尋也、1番疑われた不良少年、さすがだ。
色んな不幸も背負いながら、憂さを晴らし、多くの憎しみの対象にもなる不良少年という存在感。

結局はこの最後の証人が決め手にはなるのだが、「これでここまでの裁判は何だったのか?」みたいなツッコミはあるのだけど、そこもちゃんも当事者同士で語り合う。

少なくとも真相は、、、出る。
そして、裁判の後も、これによって色んなことが露わになり、それなりに悲しくも、切なくも、清算される。

一夏の思い出、と、一言で片付けるには余りにも重々しいが、彼ら彼女らには代え難い“何か”が残る。

中学生だからこそ、敏感で、ウブなところが、残虐さを生み、こうした意思を生む。
多感な学生の、恐るべき純粋さと、直向きさが織りなす凄まじい出来事の顛末。

にしても、柏木卓也くん、ヤバすぎる。破壊的すぎる。圧倒的に異質な存在すぎる。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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