かたゆき

誘拐の掟のかたゆきのレビュー・感想・評価

誘拐の掟(2014年製作の映画)
2.5
娘を殺したらお前も殺す――。
1999年、ニューヨーク。酒に溺れ刑事の職を失った、私立探偵マット。
以来酒を断ち、都会の片隅で細々と食いつないでいる彼の元にある日、とある依頼が舞い込んでくる。
依頼主は、表向きは不動産業だが裏で麻薬を売り捌き、一代で財を成した密売人だ。
しかもその依頼とは、自分の妻を誘拐し暴行の末に殺したうえ、それでも飽き足らず遺体をバラバラにした誘拐犯を生きたまま連れてこいというもの。
明らかに危険な臭いを感じ、当初は断ろうとしたマットだったが、犯人たちのあまりにも残虐な手口に彼は依頼を受けることを決意する。
かつての刑事としての勘を活かし、図書館で知り合った謎めいた黒人の少年とともに少しずつ犯人たちへと迫っていくマット。
すると、麻薬密売人の妻ばかりを狙った連続猟奇殺人犯の狂った手口が浮かび上がってくるのだった。
そんな折、新たに麻薬密売人の14歳の娘が誘拐されてしまう。
警察に通報するわけにはいかない。
マットは自ら交渉人となって謎の犯人たちへと迫っていくのだが……。
暗い過去を背負った孤独な男と裏社会で暗躍する卑劣な誘拐犯との息詰まるような攻防を描いたサスペンス。

そんないかにもリーアム・ニーソンンらしい渋い内容に惹かれ今回鑑賞してみた。
きっと原作となった小説は幾つものエピソードや伏線が張り巡らせてある重厚な作品なのだろう。
残念ながら、その手の映画にありがちな弱点が幾つか目についてしまった。
2時間弱の映画なのにやたらと登場人物が多く、彼らのエピソードがことあるごとに挿入されるものだから、映画全体の印象を極めて散漫なものにしてしまっている。
過去のトラウマに苦しむ主人公、妻を惨殺された売人、難病を患う黒人少年、歪んだ性癖を持つ猟奇殺人犯、主人公に付き纏う麻薬捜査官、新たに誘拐される14歳の少女……。
これらのエピソードが一向に纏まっていかない。
なので、主人公と犯人が直接対決するクライマックスがいまいち盛り上がらない。
さらに、そこで唐突に挿入される断酒会の演説が全く意味を成しておらず、せっかくの見せ場を極めて間延びしたものにしてしまっている。
これは致命的な欠点と言っていい。
映画全体を覆う陰鬱でダークな雰囲気はすこぶる良かっただけに残念だ。
かたゆき

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