あでゆ

誘拐の掟のあでゆのレビュー・感想・評価

誘拐の掟(2014年製作の映画)
4.2
ニューヨーク中が連続誘拐殺人事件におびえていた1999年、元刑事のマットのところにある依頼が舞い込む。それは妻を誘拐された夫からの、犯人を見つけ出してほしいというものだった。マットはこれまでの刑事人生で身に付けた全てのスキルを総動員して誘拐犯の捜索に挑む。

ぶっちゃけ『96時間』的なノリだろうと思って観始めたのだが、思ったより知的な映画ですごく良かったです。ストーリーもただ勧善懲悪な映画ではなくて、『悪の法則』のような一旦始まってしまった悪事は必ず循環して自分の喉元に襲いかかるよ的な裏のある所がビター。

全体的にあんま見たこと無い演出だなって思うところが多いと感じた。
まず、導入の銃撃戦が美しい。ゆらりゆらりと肩を揺らせながら近づいて、余裕を見せながら強盗を殺していくリーアム・ニーソンが新しい。最後の一撃はFPS視点で魅せるが、こういった気の利いた演出も良い。

またこの映画、多くを語らないのが味があって良い。
例えば1つは、00:20の聞き込みシーン。どういった手がかりを繋いで情報を集めてるのかはわからないが、とにかくリーアム・ニーソンがめっちゃ頭働かせて色々聞き込みして犯人に近づいているってることだけはわかるっていうつくり。雑といえば雑なんだけどリーアム・ニーソンがやるからこそ信頼できるというか、おしゃれ。
あとはラストで犯人が手錠から抜け出したりするのも、なんかすごいことをしたっていうのはわかるけどどうやったかはわからない。
色んな人の発言にも含みがあるような部分があったりして、世界観が広がっていくのを感じる。

全体的に地味な聞き込みだったり捜査が多いんだけど、退屈な映画ではなくて、誘拐犯たちと電話交渉をするところなんかは完全に知的な格闘といえる。段々交渉が進むに連れて弱気になっていく犯人たちを観ているとカタルシスは感じざるを得ないだろう。

結構疲れる映画なんだけど、TJがすごくいいキャラしてる。俺は高いぜとか言っておきながら10ドルしか要求しないところとかかわいいし、しっかりと映画が進むに連れて相棒として活きていくのがいい。変なヘマをしてピンチに陥る的な展開もなくて、面倒でなく安心して観ることができる。
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