水

トムとジェリーのくるみ割り人形の水のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

小さい頃に惚れ込んで台詞を暗記してしま
うほどに何度も観た映画を久しぶりに観た。

昔は事あるごとにドキドキしたり、ワクワクしたりしたのに、今観てみるとものすごくテンポがいい映画で、自分の感情を十分に咀嚼できないまま、次から次へといってしまう。
ドラゴンの洞窟から頭を見つけ出すシーンなんて気が遠くなるほど長く感じたのに。
子供の時間はかなりゆっくり流れていて、子供は心の反応速度が速いことを強く実感した。
この映画は子供向け映画として優秀すぎる。
飽きさせない工夫が念入りだ。

これはわたしが観た全トムとジェリーシリーズに通じるのだけれど、音楽とアニメーションがぴったりはまっていて、気持ち良すぎる。
台詞はすごく少ないのに、音楽と表情からキャラクターの感情を読み取らせる技法が巧妙だ。
きっとトムとジェリーの制作者さんたちは音楽から着想を得てアニメを作っているだろうから、一般的な既存のアニメに音楽をつけるという制作方法とはまた変わったおもしろさがある。
制作者さんの音楽鑑賞力というか、感性がとても好き。
トムとジェリーは感性を育てる。

この映画の影響で昔からくるみ割り人形が好きで、今年初めて本物のバレエのくるみ割り人形を観に出向いた。
原作と比べることで新しい解釈が生まれたし、理解が深まった。

そしてこの作品は他と比べてもキャラクターがかなり好き。勇敢で仲間想いなジェリーはもちろん、お茶目で場を和ませるポーリー、タフィー、悪役のトムたち猫の間抜けさも憎めなくて愛らしい。
特にネリーは昔すごく好きだったキャラクターで思い入れがある。ネリーが好きすぎて木馬という概念ごと好きだったくらいだ。
1番感情移入しやすいキャラクターだったんだと思う。
ネリーが感情の動きが1番人間らしかったし、唯一絶望という感情が丁寧に描写されたキャラクターであると思う。
そんな彼女の弱さも優しさも強さもわたしは好きだった。
わたしも無口で怖がりな子だったから、彼女に自分と同じものを感じていたのだと思う。
人は性根はあまり変わらないのかもしれない。
わたしは今もネリーのままで、これからもネリーのままでいたい。

冷たい湖に沈むジェリーを助ける場面と、とぼとぼと1人歩くネリーを物理的に慰める場面は特に好きで、観るたび優しい気持ちになれる。

サンタクロースとははっきり言われないトイメーカーさんはきっとサンタクロースだと今でも思う。

クリスマスのワクワクをいつまでも子どもたちに届けてほしいな「トムとジェリーのくるみ割り人形」
水