塚田薫

ライト/オフの塚田薫のレビュー・感想・評価

ライト/オフ(2016年製作の映画)
3.5
良作。あらすじは省く。
ホラー要素だけでなく、物語の核になるドラマ=葛藤がしっかり描かれているから飽きずに観れた。
またホラー映画は扱うものがオカルトとか幽霊とかぶっ飛んだもののせいで、それを物語として成り立たせるためにキャラクタの行動が「そりゃねーよ」なことが多いけど、この映画ではボーイフレンドや児童福祉局の職員など常識的かつ真っ当なサブキャラクタが暴走しがちなメインキャラを方向修正しているところもよかった。
特にボーイフレンドは一貫して真っ当かつ常識的。家に現れた謎の怪物相手にして、あの対応をするホラー映画ってあまりないと思う。確かに家によく分からない変な人が現れて暴れ回ったらそうするよね。
つまり独りよがりではない話の進みでありつつ、きちんと怖い。

そんなふうにホラー要素ありきではなくとも物語として成り立つだけの物語とキャラクタ群がある。


同じように比較的低予算ながら割とよくできたホラー映画にアパートメント143があるが、こちらも本筋のドラマがしっかりしていた。イットフォローズも良い。
最近海外ホラー映画に当たりが多い。

<おばけについて>以下ネタバレ


ホラー映画のキモは、敵となるモンスターがどんなキャラなのかっていうところが大きい(俺調べ)
たとえばテレビから出てくるとか、動く人形とか、呪いの電話をかけてくるとか、腐ってて人肉大好きとか。
このダイアナの「光が苦手で暗いところだけで実体化できる」というキャラ付けは、視覚的に怖いところでまず成功しているがそれだけではなく、物語ときちんと絡んでいるところが良い。
寄生しているソフィーのうつ病が悪化している時にだけ現れるということは、暗く落ち込んでいるところにだけ存在できるという。
つまりこの映画の中で光というのは希望そのものだ。
それは懐中電灯とかスマホのライトみたいに頼りないけど、そのビミョーーな希望しかなくても絶望と戦うんだ!というベタかつポジティヴなメッセージ。
でもそれにしたって、というかそうだからこそあのラストはマジかよーってなる。
まあ胸糞。
塚田薫

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