MikiMickle

パンク・シンドロームのMikiMickleのレビュー・感想・評価

パンク・シンドローム(2012年製作の映画)
4.3
フィンランドのパンクバンド、ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァト。彼らは障害者施設のワークショップで形成された、全員知的障害者。

メンバー紹介‼
言語障害で、服の縫い目大好き、作詞作曲もするギターのペルッティ‼
多動性障害でタバコを愛する熱い男、ボーカルのカリ‼
パソコンも使えるし政治に関心のあるインテリで力持ち、だけどちょっと嫌なやつw、ベースのサミ‼
家を出たくない甘えん坊、笑顔がかわいいドラムのトニ‼

そんな彼らを追ったドキュメンタリー‼

失恋、誕生日パーティーなどの日常を通して、ドイツでのツアー、初のレコード発売、フェスへの参加などのバンド活動を映し出します。
喧嘩して、仲直りして、また憎んで、でもライブは続けて…

障害者という事で、重いものと思われがちかもしれないけど、
これはパンクスの、パンクバンドの映画なんです。

そもそもパンクとは、
簡単なリフと、素直な怒りを現した歌詞で、
技術がなくても表現できる音楽です。

彼らの音楽は、そもそもの本質的なパンクなんです‼
自分の感情をぶつける手段となる音楽。まさしく、それっ‼

障害なんて関係ない。
いや、むしろ、その障害があるからこそ、その不満や欲求、怒りはストレートなものであり、歌詞に力があるのです。

こんな歌詞がありました。
「少しばかりの尊厳と平等が欲しい。グループホームは嫌いだ」「いつかグループホームを爆破してやる」
これは、彼女との普通の日常、普通の同棲や結婚を願うトニの素直な願いと、それがなかなか叶わない事への怒りと鬱憤であり、それを思いきりぶつけてくるのです。

アナーキーな歌詞、熱いライブパフォーマンスで本国で大人気の彼らが伝えたい事は、くそったれな世の中を変えたい‼障害者に平等を‼という事。
それがまたかっこいいんだっ‼ 初期パンクの衝動ですっ‼‼
パンクやロックに健常者も障害者もないのです‼

そして、そんな彼らのキャラクターが個性豊かで面白いのです♪楽しいのです♪
うんち漏らしても頑なに誤魔化したりw フットケアを憎んでいたり、パーティーに来てもらって嬉し泣きしたり。メンバーを殴り殺 してやる‼と呟き続けていたり。ズボンずり落ちたり。つい縫い目を触っちゃったりスリスリしたり(←たまらなくかわいい♪)
ほんと、おもしろかった

それはあくまで障害者だから面白いというのではありません。人として、とてもとても魅力があるのです♪

そして、ペルッティが語る母の話に泣きそうになりました……

しかし、サラッとバンドを追ってるだけなので、全く重くなく、
ラスト、かっこいい彼らのライブと笑顔は心地よい余韻を残してくれます♪
そして、障害のある方が見て、きっと自分たちにも何かできると勇気づけられるものとなると思います。
また、北欧の支援の素晴らしさにも感心してしまいました(「施設のご飯は豚のメシ‼」って怒ってるけどw)。職員による虐待が横行する日本は、ほんとに見習うべき。
MikiMickle

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