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デカメロンのleylaのレビュー・感想・評価

デカメロン(1970年製作の映画)
4.0
ルネサンス期を代表するボッカチオ原作の『デカメロン』100編のうち、パゾリーニが好きな6編を選び、新しいエピソードを繋ぎとして付け加えたオムニバス。音楽はモリコーネ。

糞まみれの1話目からヤバい作品なのかと思ったら、とっても明るくコミカルな下ネタ短編集でした。話ごとに切れ目がなく、最初はわかりにくかったので2回観たら面白かった。これは原作を読んでみたくなる。

神や教会をおちょくったような笑えるエピソードの連続。姦淫だらけ。死人だらけ。やたらエロティックなのに活力があって、悪趣味だけどあっけらかんとしてイヤらしくない。人間のオバカな姿、本能丸出しの姿をまっすぐに描いた愛すべき作品でした。

神父も修道女も人間なので性欲だらけです。姦淫の罪を犯してもあの世ではたいした罪じゃないぞと、死んだ人が言ってます。宗教を笑いに変えてるのが面白い。

俳優の何人か以外はほとんど素人ですが、表情が個性的でいいんです。時々キラッとした美少年が混じっていて目が離せない。そして1シーンで空気を一変する神々しいシルヴァーナ・マンガーノの顔。

舞台はフィレンツェではなくナポリですが、村の建物や衣装から14世紀の雰囲気が感じられて、その時代にトリップした気分。手押し車に山積みのドクロや、好きな人の死体の首を切って持ち帰る女性などなど、映像もいちいち楽しい。

パゾリーニ自身が画家ジョットの一番弟子として登場してます。「夢の方がすばらしいのに、なぜ描き続ける?」という言葉に物語の世界から現実に戻され、監督・パゾリーニを意識させられることになる。ナルシストめ。
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