映画狂人

薄氷の殺人の映画狂人のレビュー・感想・評価

薄氷の殺人(2014年製作の映画)
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ベルリン国際映画祭金熊賞&銀熊賞W受賞。
筋だけ追いかけているとありがちなクライムミステリーかと思ってしまうが、その実極めて映画的な瞬間に満ちた怪作である。
特筆すべきは魅せることに特化した予測不能のカメラワーク、極彩色の映像美。
北野作品を彷彿させる屋内の銃撃戦に先ずは引き込まれる。
次に、1999年事件発生から2004年への時の流れをトンネルを抜ける車内視点から描写した一連のショット、あれはマジで凄い。
時制の変化、季節の移り変わり、更には視点そのものさえも切り替わるあのシーケンスには映画でなければ表現できない理由がある。
更に仰天したのはスケートシーン。
主役二人の心の機微を台詞ではなく動きで表したあの名場面。
そう、波間に揺蕩う小舟のようにゆったりと着実に近付いてゆく。
シリアスなムードの中に時折差し込まれるシュールでユーモラスなカットもまた面白い。
例えば終盤、主人公が踊り狂うシーンなどは不思議な高揚感に包まれる。
原題にもなっている白昼の花火が炸裂する帰結とグイ・ルンメイのあの表情に拍手。
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