FumiyaOsaka

6才のボクが、大人になるまで。のFumiyaOsakaのレビュー・感想・評価

3.5
リンクレイターの映画ってあんまり見ていない。『ビフォア・*』も見てなければ、『スキャナー・ダークリー』さえも。『ニュートン・ボーイズ』は見たけどね。特に意識的に避けていたわけではないが、学生時代の後半には、なんとなく「インディーっぽいもの」から距離を取ってしまっていたのは事実だと思う。「スタジオ・ムービーが世に与える影響」に頭を悩ませ続ける変な大学生だったのです。高校の時は「人と違う映画が好き」ってことが大事で、大学前半は映画を見ることが純粋に楽しかったな。今は単純に時間がない。けど、映画を見る目はもっとフラット。むしろ社会に生きる生活者としての視点が身についた気がする。いいのか悪いのかはさて置き。
この映画は「見られる」映画だったと思う。幸せとは言えない家庭環境の中で、ひねくれることもなくただ静かに世界を見つめ続ける少年を記録するかのような映画。それはまるであの少年に「見つめられている」かのような感覚に陥る体験で、あの頃「少年」だった自分に「見つめられている」感覚に次第に転化していく。物言わぬ少年の眼差しは抽象化された「少年時代」の眼差しとなり、それを媒介として過去の自分が立ち現れる。ただ、それが与えるのは自己投影による共感ではなく、あくまでも「見つめられる」感覚。そんな映画だった気がする。
さて、リンクレイター見るか。
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