1954年のマンハッタン、TVコメディ番組の見習い作家の青年と、ゲスト出演することになった往年の映画スターの１週間の交流を描いたコメディ。
『月を追いかけて』『恋する人魚たち』といった親しみやすい人情喜劇を作るリチャード・ベンジャミンらしく、展開はありきたりながらも、スラップスティック調のバックステージもの+バディムービーといった感じで、楽しく見られた。

『ヴィーナス』から遡ること約25年前に、ピーター・オトゥールがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた映画でもある。その年の受賞者は『ガンジー』のB・キングスレーだったので、まあ分が悪かったのだけど、これがなかなかに味わい深い名演で、オスカー受賞してもおかしくなかったと思う。

彼が演じるのは、かつてロビン・フッドや海賊活劇で一世を風靡した映画スター。そのちょび髭の風貌といい、酔いどれ加減といい、明らかにエロール・フリンを模した役だなあと思っていたら、この映画自体がフリンと駆け出し時代のメル・ブルックスのエピソードを元にしているそうでビックリした。他のキャラクターも、シド・シーザーやニール・サイモン、カール・ライナーをモデルにしているそうだ。

何だか三谷幸喜が舞台化しそうだなあと思っていたら、既にブロードウェイミュージカルにはなっていて、そちらの主演がティム・カリー！日本でやるとしたら一体誰がピッタリだろう？

実はオトゥール作品の最高傑作だと思う。相変わらずアカデミー主演男優賞で落選した。