ヨウ

複製された男のヨウのレビュー・感想・評価

複製された男(2013年製作の映画)
4.1
恋人とともに平穏な日々を送っていた歴史教員が自分と瓜二つの俳優が存在していることを知る。互いが互いに対して尋常じゃない執着心を抱き、ついに邂逅を果たすものの事態は予想もつかない方向へと進んでゆく。全編を隈なく覆うダークで不穏な空気感。ドッペルゲンガーとの奇怪を極めた交流模様。支障をきたす運命の歯車。。未だかつて経験したことのない妙妙たるミステリーが展開され、終始画面に食い入ってしまう。桁外れの面白味を醸し出し、沸々と込み上がる興奮が止まることを知らない。鍵、部屋、蜘蛛。。正体不明の謎が無限に台頭する中で突きつけられる常識破りのラストシーン。あの結びに全て持っていかれ頭の中が錯乱状態となった。お前は一体誰なのか。そして俺は何者なのか。アイデンティティの錯綜が暴走をきたし闇の中へと引き摺り込まれる。モヤモヤ感が酷かったため考察に少々目を通したが、分かるようで分からない感じだった(笑)。要するに人間の認識の深層に迫るという作りなのね。ヒトという生命体に潜む不可解な性とは本当に気持ち悪いが興味関心がめちゃくちゃに唆られるテーマでもある。研究の対象としては打ってつけだろう。これと似通った映画、他にもいくつか観たような気がするが、それらと重ね合わせて考えていくとスッキリするのかもしれない。観る人によって多種多様な解釈が生まれ出る大変興味深い映画である。これは考察大会みたいなのも開けそう。ともかくも一度はこの難解映画に触れて存分に考えを巡らせてみてほしい。
最後に一つ。浮気をすな!そしてあの蜘蛛マジで何やねん!
ヨウ

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